2015年11月、東京・板橋に「イオンスタイル板橋前野町」がオープンした。
同店のある板橋区は、30~40代の子育て世代の人口増加がみられるエリアで、「子育て支援の強化」を施策として掲げている。同店も、都営地下鉄三田線の志村坂上駅から歩いて約7分の位置にあり、道中には散歩やお花見に最適な見次公園があるなど、子育てにはぴったりの環境といえる。
「子育てしているオトナを応援する」をコンセプトにしている同店だが、本当に子育て世代向けの店づくりとなっているのか。また、実際に子育て世代の来店客が多いのか。足を運んで、確かめてみた。
もはやスーパーではない、明るくおしゃれな空間
まず、店に一歩入って驚いた。話には聞いていたが、ここはもはや、いわゆるスーパーマーケットではない。1階は、明るくおしゃれな「マルシェダイニング」が広がっており、同店の目玉といえるだろう。
一般的なフードコートより広々としたダイニングスペース(約350席)が中央にあり、それを取り囲むように、フード、カフェ、スイーツ、ベーカリーなど、11のショップが並んでいる。
全体的には、同店のターゲットである子供連れのママたちがゆっくりとくつろいでいるが、カフェ利用の若い男女のおひとりさまも多数来店していた。テーブル席のほかに電源つきのカウンター席も多数あるため、ノートパソコンを広げて作業することも可能だ。ランチだけでなくディナーも楽しめるようで、1日中ここで過ごすこともできそうだ。
また、マルシェダイニングにはイタリア輸入食品の専門店があり、併設されるイオングループのリカー専門店「イオンリカー」では、数多くの種類のワインが取り扱われている(購入したワインは、ダイニングに持ち込みも可能)。毎日17~19時の時間帯は、グラスワインと前菜がリーズナブルな値段で提供される「ハッピーアワー」となり、仕事帰りの会社員たちを誘う施策だ。
地下1階の生鮮食料品売り場に行くと、高級食材の品揃えが豊富で、まさに「ワンランク上級のライフスタイル」を提案しているといえる。
客層は8割が女性、行列ができることも
2階は生活雑貨(1階にもある)やバス用品の売り場、さらに「ナチュラル&オーガニック」のコーナーが広がっている。いずれも、通常のイオンよりやや高級でおしゃれな商品ばかりだ。また、興味深いことに、同店には肌着や靴下の売り場はあるが、婦人服売り場は存在しない(マタニティウェアやエプロンドレスはある)。