「反社会的勢力」三菱自、隠蔽と犯罪を重ね死者続出…消費者の安全より組織的利益優先
相川賢太郎氏の見解は、外部に迷惑をかけても仕方がないということだ。三菱グループ以外の外部というのは、すなわち私たち市民社会である。それに迷惑をかけても渡世のためには仕方がないというのは、反社会勢力の考え方だ。三菱グループは三菱自動車の件に関して反社会勢力となることを同氏は自認したことになる。
不買運動と株主訴訟で追い詰めるべき
重大なコンプライアンス違反を犯した会社は、相応のペナルティを受けてきた。雪印乳業やライブドア、船場吉兆は市場から退出したし、赤福や石屋製菓(「白い恋人」の販売元)はしばらくの間販売停止に追い込まれた。
死者まで出したリコール隠しをしていた三菱自には、今度こそ廃業してもらうべきだと私は思う。それにはどうしたらいいのか。
ひとつは、単純に同社製品への不買などを求める消費者運動の高まりに期待したい。しかし、「三菱重工は三菱自動車の株を持っていますからね。株主としては支援はしなきゃイカン。それは当然のことでしょう」(同)と、相川氏は三菱グループとして三菱自動車を擁護する姿勢を示した。このようなグループとしての反社会的な行為を阻止するためにはどうしたらよいか。
私が三菱重工の株主だったら、同社が三菱自の救済措置を取ったら取締役に対しての株主訴訟を考える。つまり、反社会的集団への支援ということで取締役の善管注意義務違反を問う。
また、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文前会長を辞任に追いやったアクティビスト株主の出現にも期待したい。三菱重工に書簡を送り、反社会的な投資や援助行動を取ることは公企業の行動倫理に反し、最終的に株主に対する企業価値を毀損することを指摘してけん制してもらいたい。あるいは、議決権行使助言会社が株主総会を前にして、会社を特定して、あるいは一般論として反社会的な企業行動を取らないよう見解を出すなどだ。
私たちは資本主義社会に生きている。それは優勝劣敗の社会だ。しかし、「儲かるのなら何をしてもよい」ということでは決してない。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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