「反社会的勢力」三菱自、隠蔽と犯罪を重ね死者続出…消費者の安全より組織的利益優先
燃費データ不正に揺れる三菱自動車工業の4月の軽自動車販売は、前年同月比44.9%減と大きく落ち込んだ(全国軽自動車協会連合会が5月2日に発表)。4月20日に不正を発表して以降、問題車種の販売を停止しており、5月はさらに落ち込む見通しだ。
同社は水島製作所(岡山県倉敷市)で軽の生産を止め、全工場従業員約3600人のうち約1300人が一時帰休させられている。影響は三菱自だけでなく取引先にも広がり、同社から供給を受けていた日産自動車の4月軽自動車販売が昨年対比51.2%のマイナスとなった。
懲りない会社の自業自得
石井啓一国土交通大臣は4月22日の会見で、「日本ブランドに対する信頼・信用を失墜させ、ユーザーに対しても多大な迷惑を掛けていることについて猛省を促したい」と三菱自を厳しく批判した。25年にもわたって燃費データ不正を続けていた同社は、経営トップが関知していたかは別にして、「不正に対しての組織的確信犯」というしかない。
同社は過去にも23年以上にわたって不具合情報を多数も隠蔽し(2000年発覚)、関連して2件の死亡事故が起きている(02年)。法人としての同社と子会社の三菱ふそう、そして三菱自の副社長以下経営幹部複数名が刑事有罪となった。
安全にかかわる事項について意図的に隠蔽して死者を出した。司法的にも有罪が確定した。つまり、三菱自は犯罪を重ねてきた会社であり、それがまた性懲りもなく反社会的な行為をしでかしたというのが今回の構造である。こんな会社の存続を許してはならない。
三菱自を延命させてきた三菱グループの総意
過去の2回にわたるリコール隠しで経営危機に陥った三菱自動車を救ってきたのは三菱グループだ。三菱グループ主要29社は「金曜会」という親睦会を形成している。グループの御三家と呼ばれるのが三菱商事、三菱重工業、そして三菱東京UFJ銀行である。この御三家が資金的にも人材的にも支えることで三菱自は過去の危機を乗り越えてこられた。
今回のいわば「三度目の大罪」に対しても、「三菱グループの天皇」と呼ばれる相川賢太郎氏(三菱重工相談役)は「絶対に潰しちゃイカンですよ。(略)皆で助け合ってやっていこうというのが、三菱グループ29社の精神ですから」(「週刊新潮」<新潮社/5月12日号>より)と語っている。