また、大村紙業と京葉流通倉庫はアマゾンと直接電子情報をやり取りしているそうです。両社はそれを活用してe託プロという仕組みを出版社に提供しているのですが、「この2社以外の倉庫会社と契約している場合は倉庫の移転を検討しては?」とまで言いだしたのです。さすがにこれは言いすぎです。アマゾン1社のために、倉庫を移転しろと言っているようなものです。何様なんでしょうか。
C氏 怒涛のようなe託プッシュはまだ続きます。仕組みの次は条件の話です。「歩戻しなし」「ジャンル別掛け率なし」「地方格差是正金なし」「在庫保管費なし」「「納入手数料なし」と取次と出版社における取引条件のなかで出版社が支払っている項目を次々に挙げて、それらをアマゾンは一切頂きません、と条件の良さを訴えるのです。そして、「正味は60%(出版社の取り分が販売金額の60%)で、年会費9000円だけお支払いください」と言うのです。しかし、支払いスパンは60日と短く、有料の販売分析レポートも無料で提供すると一気呵成にまくしたてるのです。
怒涛の勧誘
B氏 次に、テレビショッピングのような話になりました。「在庫ステータスを変更できる」「搬入リードタイムが速くなる」「支払は60日後」「返品率は下がる」「販売データは無料」などとメリットとなる項目を整理し提示して、「これだけではありません。なんと、今日来てもらったお客様にだけ、特別な条件を用意しました。全商品を登録していただければ、特別正味66%にさせていただきます。だいぶがんばらせていただきました」と勧誘するのです。
C氏 私が出たセミナーでは、特別正味に加えて、今回e託を登録した出版社に対して「マニュアル発注対応依頼窓口」のモニターになってほしいという説明もありました。アマゾンは注文を自動化し、著者のテレビ出演などによる急な書籍の需要増にもシステムで十分対応できると言っていましたが、おそらく対応できていないのでしょう。アマゾンはそうした事態に対応するため、事前に出版社からパブリシティ情報を受け付ける窓口を設けるそうです。そのためのモニターを今回契約した出版社に頼んだのです。しかも、モニターに参加できることがあたかも出版社には特典であるかのように話していました。
A氏 私が出たセミナーでは、その話は出ませんでした。特別正味の紹介後は、e託を利用している出版社のアンケートが紹介されただけです。アマゾンに都合のいい話ばかりが発表されていました。