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富士通は「今のところ現場で混乱はない」としている。ただ、この税理士によると、零細業者や個人事業主は現段階で「まだマイナンバーをそれほど扱っていない」といい、パソコンに個人番号のデータを入力したり、そのパソコンを修理に出したりするケースは多くないためとも考えられる。年末調整や確定申告のシーズンになれば個人番号の取り扱いも増えることが予想され、これからトラブルが起こらないとは限らない。
国の対処方針
6月10日の東京都国立市議会では、マイナンバー違憲訴訟の原告で元システムエンジニアの関口博議員がこの問題を取り上げ、市に対して「個人事業者にきちんと広報すべきだ」と申し入れた。パソコン修理の過程でマイナンバー流出が起きれば大きな問題になるとの危機感からで、「行政に注意を喚起する狙いもあった」という。
ところで、肝心の国の対応はどうなっているのだろうか。
実は、マイナンバーの取り扱いを監視・監督する個人情報保護委員会が、ホームページに掲載したQ&Aでこの問題への対処方針を示している。
「単純なハードウェア・ソフトウェア保守サービスのみを行う場合で、契約条項によって当該事業者が個人番号をその内容に含む電子データを取り扱わない旨が定められており、適切にアクセス制御を行っている場合等には、個人番号関係事務又は個人番号利用事務の委託に該当しません」
同委員会の担当者によると、修理にあたる業者がマイナンバーをパソコンから取り出したり書き写したりする場合にはユーザーの監督が必要で、マイナンバーが保存されたパソコンを預かっての修理はできない。だが、部品の交換など単純な修理作業を、個人番号のデータを取り扱わない契約を結んだうえで行うのであれば、マイナンバーが保管されたパソコンであっても預かり修理が認められる、との趣旨だそうだ。
となると、「修理拒否」を打ち出したパソコンメーカーの方針は行き過ぎとの見方もできそうだが、同委の担当者は「メーカーが経営上の判断で厳しい対応を取るのは仕方がない」とも話している。この問題、今後、各方面にさまざまな余波を広げるかもしれない。
(文=小石勝朗/ジャーナリスト)
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