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ギャバン買収で16億円の特別利益
買収に伴うのれん代の償却で減益になるのが一般的だが、増益になることもある。負ののれん代が発生する場合だ。負ののれん代は、買収額が被買収企業の時価の純資産を下回る場合に出てくる。割安な状態で買収できたことを示している。
有名なのが08年4月の伊勢丹と三越の経営統合だ。伊勢丹が三越を買収したかたちで会計処理されたため、負ののれん代が700億円も発生し、5年にわたって三越伊勢丹の利益を押し上げた。
ハウス食品は、壱番屋の買収では361億円ののれん代が生じたが、ギャバンの買収では負ののれん代が発生する。ギャバンの買収額は約65億円を想定。ギャバンの16年3月期の純資産額は89億円。ハウス食品はギャバンの株式15.84%を保有しており、これを除くと16億円程度の負ののれん代が生じる。
ハウス食品の浦上博史社長は中国戦略に関して「ギャバンで川上、壱番屋で川下を押さえられた」と語る。壱番屋の出店を中国で増やし、カレーの認知度を高め、カレールウの拡販につなげる。ギャバンを傘下に組み入れたのは、ギャバンの香辛料の調達能力を評価したからである。ハウス食品が中国で販売する「百夢多カレー」は、日本市場で販売している製品に比べて黄色みが強く、口に含むとスパイシーな香りが広がる。隠し味は中国人が好む八角で、中国料理によく使われる八角を調達・販売しているのがギャバンだ。
ハウス食品の17年3月期の純利益は53億円と見込んでいたが、これには負ののれん代は織り込んでいなかった。ギャバンの買収完了に伴い、純利益の見通しを69億円に上方修正した。
ギャバンの商標権の償却は30年以上の長期にわたるため、業績に与える影響は軽微だ。ハウス食品にとってギャバンはお得な買い物だったといえる。
(文=編集部)
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