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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

なぜ大企業も子供の夏休みも、「計画」は頓挫するのか?成功させる2つのコツ

文=牧田幸裕/信州大学学術研究院<社会科学系>准教授
なぜ大企業も子供の夏休みも、「計画」は頓挫するのか?成功させる2つのコツの画像1「Thinkstock」より

 夏休みが始まる。そして、夏休みが始まる第1週目、全国600万人を超える小学生が、「夏休みの計画」を立てる。しかし、その計画はおそらく大半がうまくいかず、途中で頓挫するだろう。でも、気にする必要はない。

 東京の大手町や丸の内の業界最大手企業で活躍するエリート・ビジネスパーソンが策定する計画も、90%以上が予定通りいかない。立派な大人も計画を立てては、その大半が頓挫しているのだ。かつて筆者が外資系コンサルタントだった頃、業界最大手企業から戦略コンサルティングの依頼を受けてきたが、そのなかには頓挫している計画をなんとか実行できる計画、結果を出せる計画にしてほしいという依頼も相当数あった。

 では、なぜ計画は頓挫するのか? どうすれば夏休みの計画をコンプリート(完遂)できるのか? 大人の計画の側面、小学生の計画の側面、両方合わせながら考えていこう。

 大手企業で頓挫していた計画は、中期経営計画であったり、またはプロジェクト計画であったりした。なぜ彼らの計画は頓挫するのか? そこには、2つの原因があった。それは、以下の2つの原因である。

1.目標を達成するタスクに抜け漏れがある
2.それぞれのタスクの工数が十分にとられていない

 計画が頓挫する原因はさまざまだが、そのほとんどは、この2点に集約できた。では、なぜこのような問題が起きるのだろうか。

1.目標を達成するタスクに抜け漏れがある

 なぜ、プロジェクト計画を策定するときに、タスクに抜け漏れが生じるのだろうか。それは、ビジネス環境は常に変化すること、そしてビジネスタスク全体を把握することが難しいからである。

 たとえば、トラディッショナルな金融企業がFintech(フィンテック)を取り込もうとする場合、日進月歩でFintechは進化する。したがって、計画を策定しているときには気付かなかった、または存在しなかった技術が次から次へと生まれ、キャッチアップする必要性が生じてしまうのである。だから、検討事項の抜け漏れが生じてしまう。

 また、ビジネスは、研究開発領域、生産領域、物流領域、営業領域といったさまざまな領域で活動を行うことで、最終的に価値を生み出す。だから、研究開発領域の担当者がプロジェクト計画を策定する際にも、生産、物流、営業領域まで目配りをする必要がある。しかし、そこまで広い領域を網羅できる人材は少なく、難しい。その結果、抜け漏れが生じるのである。

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年、日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授。2007年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授。2012年、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師。2016年、長野市産業振興審議会 副会長。2018年7月より現職。
牧田 幸裕|note

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