ビジネスジャーナル > 企業ニュース > シャープ、深刻な病状…全事業売却も  > 3ページ目
NEW
前川修満「会計士に隠しごとはできない」

シャープ、深刻な本当の病状…7千人削減は必要最低条件、一事業除く全事業売却も

文=前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表

 また、16年度4~6月の第1四半期における各事業の業績は以下のとおりでした。

シャープ、深刻な本当の病状…7千人削減は必要最低条件、一事業除く全事業売却もの画像5

 これをみると、(2)エネルギーソリューション、(5)ディスプレイデバイスは赤字なのに対し、(1)コンシューマーエレクトロニクス、(3)ビジネスソリューション、(4)電子デバイスは黒字になっているのがわかります。

 特にこの新年度の四半期データに注目するならば、全社の営業赤字額2517百万円に対し、エネルギーソリューションとディスプレイデバイスの赤字が、それぞれ6307百万円と10742百万円と全体の赤字額を大きく上回っていることがわかります。

 これらのデータをみてシンプルに考えるならば、シャープ再建策として最優先なのは、(2)エネルギーソリューションと(5)ディスプレイデバイスの赤字解消です。そのためには、これらの事業の売却(もしくは閉鎖)も当然にあり得ることです。よって、再建シナリオは以下のようになる可能性が高いといえます。

1.大きな赤字で悩む(2)エネルギーソリューションと(5)ディスプレイデバイスについては、売却(もしくは事業停止)を検討する。事業を継続するのであれば、徹底した合理化を行う。

2.業績の安定しない(1)コンシューマーエレクトロニクス、(4)電子デバイスについては、採算を安定させるためにいっそうの合理化を行う。

3.業績の良好な(3)ビジネスソリューションについては当然、事業を継続させる。

※1と2のシナリオについては、有利な条件で売却できるようであれば、それも視野に置く。
 
 シャープ再建案は10月末に発表される予定ですが、開示されたデータをシンプルに読む限りは、上記内容に近いものが示されると予想されます。

 果たして鴻海は、どのようにしてシャープを再建するのでしょうか。
(文=前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表)

前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表

前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表

1960年石川県金沢市生まれ。同志社大学商学部卒業。公認会計士・税理士・日本証券アナリスト協会検定会員。澁谷工業株式会社、KPMG港監査法人(現・あずさ監査法人)を経て、1992年に公認会計士・前川修満事務所を開業。2006年にはアスト税理士法人を設立し、代表社員に就任。これまで、数多くの経営者や会社員に、セミナーや書籍を通じて決算書の読み方を解説してきた。決算書を通して企業の「裏の顔」を見つけ出す方法とその面白さを知ってもらいたい、との思いから2015年に『会計士は見た!』(文藝春秋)を執筆。『やっぱり会計士は見た!―本当に優良な会社を見抜く方法』は、決算書から「裏の顔」を見出す手法をいかし、優良な会社をいかに見抜くか、さらにそこから日本企業が今後何をすべきか、という視点で著した。

シャープ、深刻な本当の病状…7千人削減は必要最低条件、一事業除く全事業売却ものページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!