ポケモンGOが大ヒットしても任天堂は儲からない?
ポケモンGOは任天堂の業績にどの程度、寄与するのか。ナイアンティックは米グーグルの社内ベンチャーから15年10月に独立する際に、グーグルと任天堂、ポケモン社が出資している。出資比率は公表されていない。任天堂の最新の有価証券報告書には、ナイアンティックは持分法適用会社としても記載されていない。つまり、子会社でも持分法適用会社でもないということになる。
ナイアンティックが配信するポケモンGOは、基本のプレイ料金は無料だがモンスターを捕まえるのに使うアイテムの販売で課金するビジネスモデルになっている。利用者がアイテムを購入するたびにナイアンティックの売り上げになる。そのなかから、ポケモンのライセンス料が支払われる。ライセンス料を受け取るのは任天堂ではなくポケモン社だ。
ポケモン社は任天堂が32%出資する持分法適用会社。ポケモン社の16年2月期の決算公告によると、資本金は3億6500万円で純利益は6億1900万円である。
持分法適用会社は連結子会社のように財務諸表を合算することはない。持ち分比率に応じて投資有価証券の勘定科目に純利益を反映させるよう数値を修正する。任天堂はライセンス料のすべてを業績に上乗せできるわけではないのだ。これが、任天堂が「利益への寄与は限定的」とした理由だ。
4~6月期は245億円の最終赤字
任天堂の16年4~6月期の連結決算の売上高は31%減の619億円、営業損益は51億円の赤字(前年同期は11億円の黒字)、最終損益は245億円の赤字(同82億円の黒字)だった。
専用ソフトのヒット作が少なく、主力の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売台数は7%減の94万台、据え置き型ゲーム機「Wii U」は53%減の22万台と不振だった。円高の進行で350億円の為替差損が発生した。
ポケモンGOが世界的なヒットになっているにもかかわらず、17年3月通期の見通しを据え置いた。売上高は前期比1%減の5000億円、営業利益は37%増の450億円、純利益は2.1倍の350億円の見込みだ。
4~6月期の最終損益が245億円の赤字だから、通期で350億円の最終黒字を叩き出すには、7月以降に最終損益ベースで600億円程度は稼がなければならない。