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実際は乗れば乗るほど割高になる仕組み
そんな中、少数派だが、こんなドライバーの声もあった。
「僕らの仕事は“運やツキ”とは切っても切り離せません。例えば、2人のお客様がいて、前の車に1万円のお客様が乗り、私の車は410円ということもあるでしょう。それはそれで仕方ないです。ただ、『730円のお客様が降りた場所に長距離客がいる』ということもあり、目先で考えてはダメなんです」
さらに、こう続ける。
「仲間内に、ワンメーターのお客様を“ゴミ”というドライバーがいます。確かに、730円のお客様よりは1万円のお客様を拾いたいですが、730円のお客様にも丁寧に接客しているとチップがもらえますし、『運転手さん、とても感じがいいですね』と長距離の予約客になってくれたこともあります。私は『ほかの運転手が嫌がるお客さんを専門に乗せよう』と考えています」
今回、実際に410円タクシーに乗ってみたところ、現在の初乗り730円を超えると、料金が割高になる感じがしたが、現行の「280メートルごとに90円」という加算額は「237メートルごとに80円」に改正されるようだ。
つまり、ちょい乗り客を増やす一方で「乗れば乗るほど割高」になる仕組みであり、日常的にタクシーを利用する人にとっては、タクシー代がやや高くなる。そして、このことはあまり知られていない。
となれば、会社はもちろん、運転手の売り上げも高まることは確実である。それが、たとえ付け待ち専門だろうと、だ。
イメージとは、やや異なる運賃改正。やはり、タクシー会社の経営者は“頭のいい人たち”なのだ。
(文=小川隆行/ライター兼タクシードライバー)
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