夜間の売り上げをどうやって増やすかが課題
セブンは、ファミマやローソンなど競合チェーンと比べて夜間の売り上げが大きい。水道光熱費や廃棄損失の本部負担が手厚いセブンの店舗は、夜間も弁当などを十分にそろえ、販売機会を逃さないようにしているからだ。
ファミマは統合を機に、セブンに近いFC契約にすることによってオーナーのやる気を引き出し、夜間の品ぞろえの充実につなげる。
サークルKサンクスの全店の日販は42.5万円。統合前に不採算店を1000店舗整理し、日販をファミマの水準(51.4万円)にまで引き上げる。
首位のセブン、2位に浮上する新生ファミマ、3位に転落するローソンの顧客争奪戦は熾烈を極めることになる。
ローソンは値下げ、セブンは値上げ
消費者の節約志向が鮮明になり、デフレ脱却の道筋が見えなくなってきた。それどころか、小売業界では一段とデフレ色が強まったといえる。
長らく定価販売のビジネスモデルで成長してきたコンビニだが、デフレ時代に対応するためローソンは先陣を切って値下げを決断した。6月末に地域別価格を導入、飲料や調味料、洗剤など90品目を対象に、全店舗の75%に当たる9000店舗で地域ごとに異なる価格を設定した。
コンビニは店舗ごとにオーナーがいるので価格に差をつけることは困難とされ、全国どこの店でも同じ値段が当たり前だった。ローソンはこの原則を崩したことになる。
「コンビニは食品スーパーより高い」というのが消費者の一般的な受け止め方だ。客足を取り戻すための試みが、ローソンの地域別価格の導入なのである。
王者セブンはどう出るのか。14年5月末までに弁当やおにぎり、総菜など主力の中食の600品すべてを刷新した。実質値上げした商品も多い。消費増税で値上げをやりやすかった時期だったことも、セブンにプラスに働いた。
今回、セブンはプライベートブランド(PB=自主企画)の冷凍食品のハンバーグなど60品目を刷新する。中心価格は従来より100円高い200~300円に引き上げる。中心価格帯100~200円の商品を100円値上げするということは、50%増から最大2倍になるということを意味する。顧客はこの大幅値上げを受け入れるのか、またはほかのコンビニに乗り換えるのかが焦点となる。
セブンは値上げ、ローソンは値下げと反対の方向に走り出した。新生ファミマはどのような価格戦略を取るのであろうか。
(文=編集部)