カシオは売上高が7%減の742億円、営業利益が22%減の71億円だった。17年3月期通期の売上高は5%増の3700億円、営業利益は14%増の480億円の見込み。カシオは増収増益と強気の見通しを立てている。
インバウンド落ち込みの挽回策
インバウンドの落ち込みを、各社はいかに挽回するのか。
セイコーHDは、ぜんまいで動く機械式腕時計に回帰する。事業会社のセイコーウオッチは純国産の機械式腕時計を初めて開発した。
看板である高級ブランドの「グランドセイコー」は男性の嗜好品のイメージが強く、中心価格帯は60万円台だ。女性用に初めて100万円を超える機械式腕時計を今年から投入、スイスの高級ブランドに対抗する。爆買いは消えたが、世界的に需要があるとみて増産を決めた。
シチズンHDは世界初のアナログ式光発電時計を発売してから今年で40年。それを記念して腕時計「エコ・ドライブ・ワン」を10月に発売する。本体のケース厚は2.98ミリ。アナログ式光発電時計として世界最薄だという。価格はバンドがワニ革の限定品が税別70万円、ステンレスの通常品は30万円だ。
カシオはインターネット経由で自動的に正確な時刻に合わせる腕時計を次の成長戦略の柱に据えた。16年3月期の時計事業の売上高は1760億円で海外の売上高比率は75%。欧州を中心に自動で時刻が修正される時計の人気が高まっており、19年3月期に時計事業の売上高を2000億円まで増やし、海外比率を80%に引き上げる。
機械式腕時計の老舗、オリエント時計が消える
機械式腕時計メーカーとして一時代を築いたオリエント時計が、ひっそりと姿を消すことになった。
インクジェットプリンターで国内首位のセイコーエプソンは、17年3月期から10年間の長期ビジョン「Epson25」に基づき、100%子会社であるオリエント時計の事業を再編する。17年4月をメドに、開発・製造など国内販売を除く全部門をセイコーエプソンに統合し、国内販売は子会社のエプソン販売が担う。事業再編後も60年以上の歴史を持つオリエントブランドは継続する。
機械式腕時計の開発・製造で培ったオリエントの技術を取り込み、エプソンが力を入れるウエアラブル端末事業の新製品に生かす。