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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

米国しか知らない典型的米国人が選んだトランプ大統領は結局、現政権と同じ政策に走る

文=相馬勝/ジャーナリスト

 これは、トランプ氏の対日発言は、日本のことをよく知ったうえでの発言ではない可能性が強いことと無関係ではないだろう。トランプ氏の対日発言は、アメリカのことしか知らない一般的なアメリカ国民の孤立主義的な姿勢が反映されたものといえよう。だから、極端な内容でも、一般の国民は正確な判断ができず、極端であるがゆえに、彼らから喝さいが上がるというわけだ。

 だが、トランプ氏が大統領になったあと、同じような発言をすれば、国務省や海外から大きな批判の声が巻き起こるのは間違いないだろう。

 米政権の場合、大統領個人が選挙運動期間中に発言した政策は政権発足後に練り直され、前政権とほとんど同じという例が少なくない。なぜならば、米政権の個別の地域・諸国の外交政策は大統領の補佐官や国務省の担当者によって立案され実行されるからだ。

 とくに、経済界出身のトランプ氏の場合、その傾向が強くなるのは間違いないだろう。それは、トランプ氏には日本やアジアなどに関する知識はほとんどないに等しいからだ。この点がヒラリー氏との大きな違いであり、トランプ氏は大統領就任後、少なくとも1年間は日米関係について発言らしい発言は控えるのではないかというのが、現段階での筆者の見方だ。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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