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その過程のなかで、経済全体に資源を配分するよりも、ある程度、経営基盤が整っていたサムスンなどの財閥企業の経営をサポートすることが重視された。これには賛否両論あるが、限られた期間で経済基盤を強化し、経済成長の恩恵を国全体に浸透させるためには相応の意義があったはずだ。韓国政府は財閥企業に独占取引権を付与するなど、積極的に経営を支えた。それが財閥一本足打法ともいうべき財閥依存の経済構造につながり、特にサムスンの経済力は突出している。
また、韓国は財閥企業の海外売り上げを増やすために、自国通貨の減価(ウォン安)を重視してきた。サムスンのスマートフォンや家電製品を、韓進の海運業で輸出し、ウォン安で企業収益をかさ上げして成長を支えてきた。そして、韓国経済を牛耳ってきた財閥トップのサムスンの業績が悪化し始めたなか、先行き不透明感は高まっている。
公明正大さよりも私的関係を重視するカルチャー
政府がトップダウン型の経済開発を進めたことにより、韓国経済における10大財閥の存在感は大きくなった。韓国企業全体の純利益の4割程度が10大財閥のものであるといわれている。そして、財閥重視の経済運営が進むにつれ、韓国の政財界では個人的な関係を重視し便宜を図ってもらうことが重視されてきた。この結果、企業経営や政治の本来の機能は低下してきたように感じる。
企業の経営者やその親族は自己の利益の追求を重視し、政界との癒着が進んだ。その裏返しとして、大統領経験者、その親族が不正に資産を蓄えるというスキャンダルが繰り返されてきた。朴大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏による機密情報の入手や国政介入を見ても、個人的な関係を過度に重視する韓国のカルチャー(文化)があるなかで、韓国の政治が中長期的に適切な判断を下し、国家の安定を達成できるかは大きな疑問だ。
一部の企業経営者の権力が増すにつれ、企業統治=コーポレートガバナンスの不備を問う以前の問題も多く摘発されている。崔順実氏の国政介入に関する捜査が進むなかで、サムスンが崔一家の企業経営を支援していた疑いも浮上している。ロッテでは、不正資金プール疑惑などから会長家族が在宅起訴を受け、事実上、経営者不在の状況にある。
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