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出光創業家代理人・浜田卓二郎氏インタビュー(後編)

出光、昭和シェルとの合併を断念か…創業家代理人が激白、経営陣が必死の裏工作

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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――それは合併を断念したということなのですか?

浜田 ほぼ断念していますよ。だって、出光から話し合いを申し入れてこないのですから。今最大の問題として、昭和シェルの株式取得について状況がペンディングになっている。

――昭和シェルの株式を買わない場合には、違約金のようなものは発生するのでしょうか。

浜田 出光からは「契約内容は開示できません」と断られているのでわかりません。出光がロイヤル・ダッチ・シェルの保有する昭和シェルの株を買い取るためにはTOB(株式公開買い付け)をかけなればならないように、創業家は出光の全株の3分の1を超えるようわずかに株を買い増ししました。

――なんの目的で、昭和シェルの株を買ったのですか。

浜田 金融商品取引法には形式的特別関係者という規定があって、20%以上の株式を保有すると大株主は名寄せの対象となって、一体の株主としてみなされるので、TOBをかけざるを得なくなるのです。すると、現在の契約を実行すると金商法違反になってしまいます。サウジアラムコ社が実質的特別関係者となるのと同じ構図です。

――そうすると、昭和シェルの経営陣が困った立場になりますよね。

浜田 今、大混乱じゃないですか。昭和シェルの経営陣は、10月15日に記者会見をしましたが、亀岡社長は「ロイヤル・ダッチ・シェルに断ってきました」と発言していました。これは、「出光には株は売らないでくれと言ってきました」「合併しないのに株だけ売られるのは反対です」という意味です。

――14年の出光が昭和シェルの株を買収しようとしたときに、昭和シェルの販売店で反対運動が起こった時の再来ですからね。

浜田 そうですよ。だから今一番困っているのは亀岡社長ではないですか。亀岡社長は今、昭和シェルの社内で猛烈な抵抗に合っているんじゃないかなあ。「なんで出光にそんなこだわっているのか」とね。要は彼は、ロイヤル・ダッチ・シェルが引き立てた社長なんですよ。ロイヤル・ダッチ・シェルをいい条件で撤退させるのが、彼の第一の使命だと思いますよ。東燃ゼネラルとロイヤル・ダッチ・シェルとの間で、一株1250円で昭シェル株の売買の話がまとまりかけたときもそうでした。

――出光との合併の話が進む以前、東燃ゼネラルとの資本提携の話が浮上しましたが、途中で頓挫しました。その時の話ですか。
 
浜田 出光が乗り込んできて、1250円で妥結しそうなところを100円上乗せして無理矢理引き取ることにした。合併がダメになり株だけ買収すれば、この時の二の舞いになるじゃないですか。それで、亀岡社長は大急ぎで出光と一緒に記者会見をして、企業統合を発表したわけですよ。

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