吉野家、めっちゃ牛肉に味が染み込んだ状態&タイミングで食べる方法を聞いてみた
――味の濃さには、一定の上限があるのでしょうか。
担当者 そうですね。
――どれくらいの頻度で鍋の入れ替えを行っていますか。
担当者 入れ替えというのは基本的にありません。
――継ぎ足しているのですか。
担当者 はい。肉がなくなってくれば追加し、煮上がった段階で全体をかきまぜるという流れです。そして、またなくなれば、さらに新たに肉を入れ、煮上がったら撹拌して盛り付けをするという繰り返しです。
――良い具合に肉に味が染みこんだタイミングを狙いたいと思っているのですが、時間帯などで煮上がった頃を判断することは可能でしょうか。
担当者 同じ店舗であっても、販売状況が毎日同じというわけではありません。どのタイミングで煮るかというのは、肉の残量や販売状況などによって判断します。それは毎日変わってきますので、情報を提供するのは難しいです。
――では、朝と、タレが結構使われた後の時間帯とでは、どちらのほうが濃い傾向にあるでしょうか。
担当者 本来、煮肉を行うことでタレの味を確認しています。当然、煮詰まってくるような状況であれば、水を足して調整を行うように指導しているので、どこかの時間帯では濃く、また別の時間帯では薄いということは、あってはならないことです。
――やはり、いつ行っても同じ味というのが前提なのですね。
担当者 そうですね。やはりチェーンストアとしては、それが前提になってきます。
――ありがとうございました。
残念ながら、「濃い味のタイミングを狙いたい」という希望を実現する策などなかった。何時にタレと肉を入れ替えるといったシステムではなく、状況に応じて肉を入れ、水を加減して味を調整しているのだ。
濃い味を狙えないのは仕方ない。だが、逆の発想で、より楽しむことならできる。「今日の吉野家は濃いかな? それとも薄いかな?」と、ちょっとしたギャンブル気分を胸に秘めながら店に行くのだ。くじを引くような感覚だ。「もし濃ければラッキー」――。それくらいの気持ちでこれからも通おう。それも含めて“変わらぬ味”だ。
(文=酒平民 林 賢一/ライター)