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しかし、企業名公表について国は消極的だ。NPO法人が過労死企業の企業名を公表するよう情報開示請求したことがあったが、国は不開示とした。さらに、別のNPO法人が訴えたところ、12年の大阪高等裁判所では「不開示は適法」との判決が出ている。
佐々木氏は、法令違反をしたり過労死社員を出したりした企業について、公的事業(国や地方公共団体)への入札の参加を一定期間禁止すべきと言う。
「税金を使って行われる事業を、法令違反している企業に請け負わせるのは馬鹿げています。この規制は、都市部や地方を問わず、下手な助成金を出すよりもよほど効果があります」
もし、この制裁が制度化すれば、ゼネコンなら公共事業の請け負い、IT関連ならパソコンの納入ができなくなり、システムの保守・メンテナンス業務からも外されることになる。20年の東京オリンピック関連事業をすでに請け負っている電通に対しても、撤退を求める声が出る可能性が大きい。
佐々木氏が指摘するように、こうした制裁が制度化すれば、企業としては死活問題につながるだろう。常態化してしまっている日本の長時間労働の感覚を変えるには、このくらいのショック療法が必要だ。
(文=横山渉/ジャーナリスト)
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