経済面をみてみると、北海道の道内総生産(14年度)は名目18兆4227億円(全国489兆6234億円)で2年連続のプラス。01年度の約20兆円から漸減傾向にあったが、13年度から持ち直した。経済成長率(実質)は全国を下回る年が多かったが、13年度は2.3%と全国の2.0%を上回った。14年度はマイナス0.3%(全国はマイナス1%)だった。1人当たり道民所得は258万3000円で、全国の286万8000円に比べ28万5000円低い。
道の月例経済報告の直近9月の景気動向をみると、個人消費、新車登録台数、住宅建設は持ち直し、観光も改善している。一方、輸出入は共に前年割れし、公共工事(10月)は減少。生産活動(鉱工業生産指数)は一進一退で、倒産件数(10月)は横ばいだ。
ポイントは雇用動向だ。月間の有効求人数は9万1257人。80カ月連続で前年を上回った。ところが、完全失業者数(7~9月)は11万人で、前年同期と比べ2万人も増加している。完全失業率は3.9%と全国平均の3.1%と比べて高い。この十数年をみても、全国平均と並んだ年が2回あるだけで、残りはすべて上回っているのだ。かつての長期低迷状況に比べると改善が見受けられるものの、雇用を中心に懸念材料が残る。
また、総生産を地域別にみると、札幌圏を含む石狩振興局が全体の44%を占め、旭川を含む上川(8.6%)、室蘭、苫小牧を含む胆振(8.6%)と続く。人口と同様に、経済も札幌圏が中心の構造なのである。
こうしたなか、北海道旅客鉄道(JR北海道)は11月18日、「JR単独では維持困難な路線」10路線13区間を発表した。全営業区間の半分に当たる1237キロが対象。7路線9区間については、鉄道施設の一部を地元自治体が所有する「上下分離方式」などを軸に地元と協議する。残りは廃線としてバス転換を提案するという。上下分離方式の協議は、難航が予想されることから予断を許さない情勢だ。
鉄道の廃線や現状変更によって、道内における地域格差がますます進みかねない状況となっている。
問題はどこが主体となるか
疲弊する道内の地域経済活性化には、もはや空港民営化という荒療治しか手がないのだろう。実は、肝心の道内各空港の利用状況、実 績にも大きなばらつきがある。各空港の実情を整理してみよう。