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北海道の危機…鉄道の半分が維持困難、12の空港ひしめき赤字深刻、道民流出続く

文=編集部
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・各空港の乗降客数(数字は国土交通省空港の利用概況集計表=2015年数値)

【国管理】
新千歳:2046万人
函館:177万人
釧路:69万人
稚内:18万人

【市管理】
旭川:115万人
帯広:61万人

【道管理】
女満別:76万人
中標津:20万人
紋別:7万2000人
奥尻:1万1000人
利尻:3万8000人

【共用】
札幌(丘珠):18万人

 北海道にこんなにたくさん空港があることを初めて知った人が多いのではないだろうか。これらのなかで、国際線も含め新千歳空港が断トツである。

 滑走路使用料など航空関連のキャッシュフローでみると、黒字になっているのは新千歳だけで144億円。残りはいずれも赤字である。ただ、空港ビルはすべて黒字だ(北海道経済連合会の資料より)。

 こうしてみると、20年までを目指す7空港の一括民営化は、新千歳をハブにした構想以外あり得ない。乗降客数、キャッシュフロー共に他空港との差が大きすぎるので、当面はその他6空港の赤字を新千歳がカバーしていくという構図になるだろう。最悪の場合、切り捨てられる空港が出てくるかもしれない。問題は、どういった事業主体が中核となって運営を行っていくかである。

「内外の路線拡充を図る一方で、収益力が劣る弱小空港のパワーアップが必要になるでしょう。新千歳の空港ビルを運営している第三セクターのトップは『国内外の企業と連合を組みたい』と意欲を示していますが、すんなりといくかどうかは不透明です。7月に民営化した仙台空港の運営会社に出資した大手私鉄グループや商社など、国内外の10社程度が関心を示しているとも報じられています。資金力だけでなく、複数空港を一括経営するマネジメント力が欠かせません。構想がうまくいくかどうかは、ひとえに事業主体の選定にかかっています」(前出ジャーナリスト)

 さらにいえば、空港経営だけの問題ではない。せっかくインバウンドや国内各地からの観光客を取り込むことに成功しても、これまでのような空港からバスで周遊するといった観光モデルだけでは通用しないだろう。体験型、長期滞在型、医療関連ツアー、留学・研修ツアーなど、北海道の魅力をフルに活用したモデルの構築や受け入れ体制の整備も不可欠だ。

 道内にはカジノ誘致に熱心な地域や、26年冬季五輪招致の動きもあるが、もっと斬新な発想をしなければ、いくら空港を民営化しても「道民が豊かになる」という楽観的なシナリオは描けない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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