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しかも、東証1部の時価総額は約516兆円(16年10月末)であるが、日銀が年間6兆円のペースでETFの買い入れを継続する場合、20年には30兆円超のETFを保有することになる。上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する株主は、金融商品取引法に基づき、原則として5%超を保有することになった日から5日以内に、内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出する義務があるが、日銀は間接的に5%超の株主になることを意味する。また、ニッセイ基礎研究所の試算によると、17年に日銀の間接的な保有比率が10%以上になる株式銘柄数は21もあり、株式市場の官製市場化が進行している。
なお、過去に日銀は銀行の経営不安を緩和するため、銀行から02~04年、09~10年に株式を買い取っているが、その保有残高は1.3兆円(16年4月末)であり、株価の影響に配慮し、今後10年かけて売却する計画である。
このことからわかるように、20年において30兆円超ものETFを日銀が保有すれば、その売却は容易ではなく、中長期的に見て、日銀のETF買い入れの方向性や限界も今後の株価の行方を左右するはずであり、その転換は将来のリスクとなる。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)
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