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刑法的にグレーでも平然と街中で営業するパチンコ、存在が議論か…カジノ解禁で矛盾露呈

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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 しかし、これは今回の法案への反論になっていない。法案を具体的につくる際、政府に課せられた責務には、以下のようにさまざまなものが含まれている。

第10条「政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。
 一 カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準に関する事項
 二 カジノ施設において用いられるチップその他の金銭の代替物の適正な利用に関する事項
 三 カジノ施設関係者及びカジノ施設の入場者から暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者を排除するために必要な規制に関する事項
 四 犯罪の発生の予防及び通報のためのカジノ施設の設置及び運営をする者による監視及び防犯に係る設備、組織その他の体制の整備に関する事項
 五 風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項
 六 広告及び宣伝の規制に関する事項
 七 青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項
 八 カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項」

 まさに、カジノで指摘されている負の影響への対策を講じるように定めている。反対論者が行うべきことは、国会において、これから政府が出す対策への対案提示である。それは今後1年以内でやることであり、今の段階で審議を拒否するというのは、国会議員としての仕事拒否になってしまう。審議時間が短いという批判も的外れだ。これからカジノの悪影響を防ぐ実施法をつくるかどうかだけを決める法案なので、審議に時間がかかるはずはない。

パチンコへの影響

 さらにいえば、反対論者はパチンコへの影響を懸念しているのではないか、という見方もできる。

 パチンコは実質的には「民間賭博」であるが、法的には風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)で規制されており、「警察の所管」というかたちになっている。このシステムのために、パチンコ店では景品を出し、パチンコ店のすぐそばにある景品交換所でその景品をおカネに交換するという、形式的には賭博ではないものの、刑法賭博罪的にグレーな運営がされている。

 カジノ法案では、パチンコのようなグレーな方法でなく、真っ正面から健全な娯楽と位置づけようとしている。つまりカジノ法案が成立すると、パチンコの運営のあり方が議論の対象となってくることも予想される。

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