これだけの経済事案がなぜ「残念大賞」に選考されなかったかというと、責任者とされる歴代3社長が、16年中に在任でなかったからだ。
・15代 西田厚聰氏(05年6月~09年6月)
・16代 佐々木則夫氏(09年6月~13年6月)
・17代 田中久雄氏(13年6月~15年7月)
日本マクドナルドホールディングス:サラ・カサノバ社長
日本マクドナルドホールディングス(HD)のサラ・カサノバ社長は、13年8月に外人としては初めて日本マクドナルド社長兼CEOに就任。14年3月には日本マクドナルドHD社長兼CEOに就任している。
日本におけるマクドナルドのビジネスにおける直接の最高責任者として現職にあり続けたので、「残念大賞」の選考対象に残った有力候補だった。
実際カサノバ社長の指揮の下、同社の業績の墜落ぶりは際立っていた。年商でいえば前任者時代の最終決算となった12年12月期の2947億円から15年1894億円へと35%減、営業利益は同248億円の黒字から同234億円の赤字と、見事にプラスとマイナスを入れ替えてしまった。年商額も営業利益額もこの4年間回復することのない一途な転落だった。こんな業績の経営者が外資で留任を認められるなんて、私が現役の時代には考えられなかったことだ。これはマクドナルド米国本社でのCEO交代、日本法人の売却検討と実際に打診など、本社側が迷走状態であったこと以外に理由は考えられない。
14年7月に中国で製造されていたチキンナゲットに賞味期限切れ食材が使われていた事件、15年1月に発覚した異物混入、両事件に対するカサノバ社長の対応は消費者の反感を買い、日本マクドナルドにとって傷口を広げるような格好となった。さらに、そんなカサノバ社長が1億円以上の年俸を受けていることも、業績結果との対照から批判されるところだろう。
カサノバ社長が「残念大賞」の選に漏れたのは、16年に入って日本マクドナルドの業績が底を打った兆しがあるからだ。
45周年キャンペーンとして「チーズカツバーガー」や「かるびマック」が登場した11月は、既存店の売上高が前年同月比で11.3%増、客数は同8.0%増となり、16年は年初月から既存店売上高が、前年同月比で2ケタの伸びを維持している。ポケモンGOとのコラボでも話題を呼んだ。
17年にカサノバ社長が当賞の選考対象から遠く離れることを期待したい。何しろ、16年7月12日付東洋経済オンライン記事によれば、同社は従業員一人当たりの営業損失が968万円、つまり年収よりも大きい損失を全員がたたき出していて、その規模は上場会社中輝く37位という効率の悪さを造り上げてきた。改善余地はとても大きい。