中澤 お客様同士で解決していただくのが一番望ましい方法ですから、まずはお客様同士で話し合っていただきます。しかし、当事者同士では収まらないケースもありますので、その際には弊社のカスタマーサポートにご連絡をいただき、スタッフが間に入ってなんらかの対応をさせていただいております。こういった仲裁に関してのマニュアルは特にありませんので、個別の案件に各担当者が臨機応変に対応します。たとえば、返金・返品をするのはどうですかと提案することもありますし、場合によっては弊社が代金の一部を負担するといった対応を取らせていただくこともあります。
――それは端的に言うと、トラブルを収めるために運営側の資金が投じられることもあるということでしょうか。
中澤 はい、その通りです。こういった処置は、2015年後半から行っております。ユーザー様への補償を手厚くするための一環として、ユーザー様が損をしたといった感想を抱かれないように、トラブル解決のために弊社側が、ケース・バイ・ケースで送料や購入代金の一部を負担できるような制度を導入しているのです。この制度の導入によって、カスタマーサポートとしても柔軟な対応ができるようになり、ユーザー様からは『運営が返金してくれた』『対応がよかった』といった声をたくさん頂けるようになりました。
――トラブル解決のための資金を計上しているというのはユーザーにはありがたいことだと思いますが、単純に1日100万件以上の出品がある個人間売買の場で、個別案件にも対応していくのはかなり大変なのではないでしょうか。
中澤 確かにその通りですが、実は、弊社は社員の半数以上に当たる約200人がカスタマーサポートのスタッフとなっており、365日24時間体制で対応しています。そのなかでも、大きく2チームに分かれておりまして、出品された商品に違法なものなどがないかを確認し、違反している商品について削除などの対応を行っていくチームと、お客様のお問い合わせやトラブル解決に対応していくチームがあります。このように、ユーザー様が日々安心して快適に利用できるように、カスタマーサポートには特に力を入れております。
――ありがとうございました。
メルカリは、中高生を含む10代、20代のユーザーがメインとのことで、ネットリテラシーや社会常識が欠如しているユーザーの割合も少なくないかもしれない。しかし、運営側は社員の半数をカスタマーサポートスタッフとしているなど、真摯に対応している様子がうかがえた。
今後も順調にユーザー数や出品数の規模が右肩上がりで推移していけば、それに伴って別の問題が浮上してくることもあり得る。その際に、メルカリ運営がどのように対応するのか、注視したい。
(文=昌谷大介、増田理穂子/A4studio)