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東証の誤発注対策に暗雲?場当たり的対応に振り回される企業らの苦悩

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 日清製粉グループも1000円以上の株価が付いているので、1単位の購入額も60万円前後から12万円前後に変わるだけだが、三菱ケミカルは現在の1単位の購入額は23万円前後。100株単位にすると5万円を割る可能性が出てくる。

 株価が80円台の長谷工は、今でも1単位の購入額は4万3000円。5~50万円の範囲には収まっていない。100株単位に移行すれば1万円以下になってしまう。五洋建設も現在1単位12万円前後だが、100株単位になると2万円台になる。

 逆に10株単位の会社には、オリックスや博報堂DYホールディングス、アコムなど、株価が高水準だった会社が顔を揃える。オリックスとアコムは1000株から100株に切り下げただけでは50万円以内に収まらず、博報堂DYは100で上場し、後に10株に引き下げている。

 オリックスは早くも95年に100株単位に引き下げていたが、05年に10株単位に引き下げて、ようやく50万円以内に収まるようになった。100株単位に戻せば、1単位を買うのに100万円以上かかるようになる。

 5~50万円で1単位が買えるくくりと、100株というくくりが矛盾するだけでなく、株主数が多い会社だと100株へのくくり直しによって株主数がさらに増えれば、今後株主総会の招集通知の発送費用負担が重くなるといった“オマケ”も付いて回る。

 同様の事情は、今も1000株単位を維持している会社郡にも言える。1株100円台の会社が1000株から100株に引き下げたら、1単位の購入額は5万円を割る可能性が出てくる。

 現状では1000株の会社に100株への引き下げを求める期限は設定されていない。

 移行が可能な会社は今年中に移行を済ませるが、そこから先は移行できない事情を抱える会社だけが残ることになり、100株単位への集約で誤発注を減らそうという取引所の目論見の達成は容易ではなさそうだ。

 上場会社の協力をアテにするよりは、取引所のシステムの機能を向上させることで誤発注を防止するほうがスジでもあり、正攻法でもあると考えるのは筆者だけだろうか。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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