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東証の誤発注対策に暗雲?場当たり的対応に振り回される企業らの苦悩

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東証の誤発注対策に暗雲?場当たり的対応に振り回される企業らの苦悩の画像1東京証券取引所
(「Wikipedia」より)
 3月18日、ジェイコム株の誤発注をめぐる、東京証券取引所とみずほ証券の控訴審の口頭弁論が東京高等裁判所で開かれ、即日で審理を終えて判決の言い渡し日が決まった。

人材派遣会社であるジェイコム株の取引で誤発注が発生したのは、今から約7年前の2005年12月8日。ジェイコムはこの日が東証マザーズへの上場初日。この当時のジェイコムは1株単位で売買できる銘柄で、みずほ証券の担当者が「61万円1株売り」とすべき注文を、「1万円で61株売り」と誤入力してしまった。

 担当者は売り注文を出してから1分25秒後に誤発注に気付き、売り注文取消のオペレーションを行ったが、東証のシステムが反応せず、みずほ側が反対売買で誤発注分を買い戻す処理をした結果、みずほの損失は407億円に膨らんだ。

 みずほ側は「取消のオペレーションを行うまでに出た、数億円の損失は自社の責任だが、取消のオペレーションを行おうとした時点以降の責任は東証にある」として、訴訟費用を含めた414億円の損害賠償を東証に求めて06年10月に提訴。

 約3年の審理を経て09年12月、東京地裁は東証に107億円の支払いを命じる1審判決を下した。だが、みずほ側は東証のシステム不備で損失が拡大したという主張を東京地裁が認めておらず、賠償金額も請求金額の4分の1程度だったため控訴。これを受けて東証も控訴し、さらに3年間の弁論準備期間を経てようやく結審したというわけだ。

 東京高裁は和解勧告を行うことを宣言しており、和解案は今後両社に提示されるが、4月17日までに和解が成立しなければ、7月24日に判決が言い渡される。

 ちなみにこのジェイコム、ジュピターテレコムとは縁もゆかりもない。07年2月に東証一部へ昇格、11年6月に売買単位も1株単位から100株単位に変更している。

●複数種類の単元株数は、個人投資家呼び込み対策の副作用

 この誤発注事故、他の証券会社にとっても他人事ではなかったし、東証もかなりこたえたようで、事故発生から2年後の07年11月、全国証券取引所名で、全上場会社の単元株式数を100株に集約するための行動計画を発表する。

 売買単位は米国では100株単位、欧州では1株単位が一般だが、日本ではこの行動計画が出された時点で8種類の売買単位が存在していた。最も多いのが1000株単位で4割強にあたる1706社、次が100株単位で1402社(約35%)。新興企業に多い1株単位の会社も690社(17%)存在し、500株が82社、10株が40社。さらに50株が13社、200株と2000株が1社ずつという状況だった。

 こんなに種類があると、顧客から注文を受けて市場につなぐ証券会社はもちろん、顧客である投資家側にとっても注文株数の言い間違いなど、ミス多発の原因になる。

 これほど多くの種類の会社が存在するに至った直接的な原因は、01年9月に全国証券取引所と日本証券業協会が公表した「株式投資単位の引き下げ促進に向けたアクションプログラム」にある。

 このアクションプログラムで、個人投資家を証券市場に誘導するため、1単位を50万円以内で購入できる売買単位に変えるよう、上場各社に呼びかけた。例えば、1株1500円の会社の株は、1000株単位でしか買えなければ、最低でも150万円用意しなければ買えないが、100株単位になれば15万円あれば買えるようになる。

 これ以前は1000株単位の会社が圧倒的多数を占めていたので、100株単位に移行する会社ばかりなのであれば問題はなかった。ところが、各社が自社の株価水準を考慮して1単位を50万円以内で変える株数にくくり直した結果、100株単位以外の単元株数が複数種類存在するようになってしまった。

 複数種類の単元株数が出現すると、今度は新たに誤発注リスクの問題が浮かび上がってきたので、最終的には100株へ集約しましょうと取引所が言い出したわけで、なんとも場当たり的と言わざるを得ない。

●100株、1000株への移行期限は1年後

BusinessJournal編集部

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