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中央線、動物衝突事故急増で大幅遅延多発…北海道はエゾシカ事故が年2千件

文=編集部
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中央線、動物衝突事故急増で大幅遅延多発…北海道はエゾシカ事故が年2千件の画像2鹿踏切用防止ネット(写真提供=近畿日本鉄道)

 昨年12月、JR留萌線の留萌-増毛間の運行が、95年の歴史に幕を下ろした。午後8時過ぎ、高倉健主演の映画『駅 STATION』(東宝)の舞台となった増毛を最終列車が発車した。だが、よりによってこの最終列車が午後9時過ぎ、廃止区間よりも先の幌糠-峠下間でシカと衝突するアクシデントに見舞われた。このようにエゾシカとの衝突は、北海道では日常茶飯事となってしまっている。

 昨年3月に開業した北海道新幹線も例外ではない。昨年のゴールデンウィーク中の5月2日夜、東京発函館北斗行きの「はやぶさ29号」が木古内-新函館北斗間を走行中、運転士がおかしな音を感じ緊急停止。車両に異常は見つからなかったが、後日、現場付近でタヌキの死骸が発見され、JR北海道はこのタヌキが衝突したと発表した。防護柵の下の地面を掘って線路内に侵入したとみられている。動物の侵入を防ぐのは極めて困難である。

シカを追い払うだけでなく、共存する取り組みも

 これほど衝突事故が増えると、鉄道会社としても甚大な被害を受ける。事故後の死骸の処理、車両点検によるダイヤの乱れに加え、侵入防止フェンス設置、わなの設置など、事故防止対策に多額の費用や手間がかかるからだ。

 一般的な対策としては、侵入防止フェンスやシカが嫌うライオンやオオカミの排泄物の成分を含んだ薬剤の散布、シカが好む鉄分を含んだ固形の誘引材などを使う。最近、注目を集めているのは、近鉄が開発した「鹿踏切」というシステムだ。

 シカの生息域となっている三重県津市内の近鉄大阪線東青山駅近くに設けられたこのシステムは、線路の両脇に約1キロにわたってネットを張り、そのうち5カ所はネットを開けた空間をつくり、シカが線路を横断できるようにした。ネットを開けた場所には踏切にある遮断機の代わりに動物が嫌がる超音波を出す装置を取り付け、電車が走る時間帯はこの装置を作動させてシカの侵入を防止する。最終電車通過後は装置を止めてシカが通れるようにした。

 近鉄では15年に、路線全体で年間313件のシカとの衝突事故が起こり、対応に苦慮していたが、昨年5月に鹿踏切を設置して以降、この区間では事故がまったく起きていないという。今年3月末には奈良県内の区間にも鹿踏切を設置する予定だ。

中央線、動物衝突事故急増で大幅遅延多発…北海道はエゾシカ事故が年2千件の画像3超音波による鳥獣対策装置(写真提供=近畿日本鉄道)

BusinessJournal編集部

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