三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の関西アーバン銀行及びみなと銀行と、りそなホールディングス(HD)子会社の近畿大阪銀行が経営統合することで大筋合意した。系列の枠を超えた3行の統合で、関西最大の地方銀行グループが誕生する。これで再編の火薬庫といわれた関西の動きは終息に向かうが、次はどこが動くのかが焦点となる。
関西アーバン銀行は三井住友銀行の直系だ。また、みなと銀行はかつてさくら銀行から出資を受けていたが、2001年にさくら銀行が住友銀行と合併したのに伴い、三井住友FGの傘下に入った。さくら銀行の前身は太陽神戸銀行で神戸市が本店だった。三井住友FGは自己資本比率を高めるために資産を圧縮する必要に迫られてきた。三井住友FGに限らずメガバンクはいずれも、人口が減少するなか、日本銀行がマイナス金利を導入したことによって収益性が低下している地銀への関与の度合いを下げたいと考えている。りそなHDが過半を出資し、三井住友FGが2割程度となる持ち株会社をつくり3行をぶら下げることになるが、三井住友FGにとっては“渡りに船”の取引だ。
三菱東京UFJ銀行は、三重県トップ地銀の百五銀行の持ち株506万4000株を3月に売り出す。三菱東京UFJ銀行は現在筆頭株主で出資比率は3.9%だが、それが2%に低下する。
次の舞台は東海経済圏か
金融の“休火山地帯”と呼ばれている東海経済圏が、次の再編の舞台と目されている。トヨタ自動車、スズキ、本田技研工業(ホンダ)の工場があり、景気が良かった東海経済圏の地銀や第2地銀には危機感が薄かったが、明らかに愛知県はオーバーバンキング地区だ。名古屋銀行、愛知銀行、中京銀行の第2地銀3行が割拠しており、特に名古屋銀行は「第2地銀の雄」と呼ばれている。
中京銀行の筆頭株主である三菱東京UFJ銀行は、愛知銀行の第2位の大株主でもある。中京銀行を岐阜市の地銀、十六銀行と合併させるシナリオがあったが15年4月、中京銀行の頭取に、64年ぶりに生え抜きの室成夫氏が就任したことから、スムーズに事が運ばなくなったといわれている。
15年4月、岐阜県の公金収納や支払事務の窓口となる指定金融機関が十六銀行から大垣共立銀行へ交代した。県レベルの指定金融機関が変わることは全国でも珍しい。県の指定金融機関は制度が始まった1964年から、十六銀行が地位を独占しており、これまで2年ごとに議会の議決を経ずに自動更新してきた。