しかし共同通信の世論調査(3月26日)でも「政府が十分に説明していると思わない」が、82.5%。「首相説明納得できず」が62%に上っている。国民はこの問題に疑問を感じ、幕引きをよしとしていない。
首相夫人が関与して、国有財産がただ同然で払い下げられたということは、隠すことのできない事実である。関連情報は廃棄されたとされ、出されてくる情報は黒塗りで、のり弁状態という中で、それでも衆参議員が国会質問や資料請求によって入手した事実は膨大な量に及び、問題の核心点である格安払い下げの実態や妥当性、8億円の値引きの根拠とされるごみは存在したのかという疑問に迫る、貴重な報告書やデータがある。それらを整理することでみえてきたものを、以下で明らかにしたい。
同じ土地が10倍の差で売却
写真2は、森友学園と豊中市の購入した用地の航空写真である。すでに国会論戦を通して、隣接地域の同じくらいの土地が14億円で取引されているということは、情報として広く流れていた。しかし、この森ゆうこ参議院議員(自由党)が作成した写真2の地図情報は、多くのことを見るものに教えてくれる。
(1)地図上の左側の土地も、右側の土地ももともと同じ国交省大阪航空局所有の国有地の払い下げ用地であり、一体のものであった。
(2)左側の森友学園が購入した土地は8770平方メートルであり、豊中市が購入した土地は9492平方メートルで、ほとんど同一といってよい大きさである。
(3)ところが、国からの購入価格は森友学園は1億3400万円、豊中市は14億2300万円であり、値段に約10倍の差がある。
(4)この土地の履歴をみると、もともと住宅地だったところを大阪航空局が空港の騒音防止区域として買収にかかり、阪神淡路大震災を経て目的を豊中市の防災避難公園に切り替えてきたことがわかる。しかし、豊中市が入手した時点では、財政上の都合から地図上の右半分しか購入できなかった。その価格は、14億円であった。つまり、もともと同じ土地の残った左半分が森友学園の土地になったのである。