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その後の「日産180」や「日産バリューアップ」でもコミットメントを掲げて、一部達成できないものもあったが、ひとつも達成できないことはなかった。ただ、08年度に策定した中期5カ年計画「日産GT2012」は、リーマンショックを機にした世界的な金融危機などの影響で09年2月に計画を一時中断、労務費削減などのリカバリープランを実行した。これを乗り越えて再び成長軌道にのせるための計画として策定したのが「日産パワー88」だったが、結果はほぼすべての目標が未達に終わった。
本来なら経営者が責任を示すべきところだが、先を見越して責任をかわすように今年4月、ゴーン氏は日産の社長兼CEOを返上して代表権を持つ会長となり、代わって西川氏が社長兼CEOに就いた。さすがに計画を達成できなかったことについて西川氏の責任を問う声は聞こえてこない。
「日産パワー88」に掲げたコミットメントを達成できずに、しかも経済状況や為替が原因とする説明を受けたある日産のOBは「掲げた目標は達成できない。しかも、経営責任もとらないでは、ルノーと提携する前の昔の日産に戻ったみたいだ」と批判する。
西川社長のプレッシャー
日産は近く新しい中期経営計画を発表する予定。先行して発表した新しい計画によると、計画期間は6年間で売上高営業利益率8%、売上高を16年度の12兆8000億円から16兆5000億円に拡大、6年間の累計としてキャッシュフローを2兆5000億円生み出す。
また、引き続きマーケットシェア8%に挑戦する。これを達成するカギとなるのが中国で「現在の中国のシェア5%を8%に引き上げることができれば、グローバルシェア8%は十分到達可能」(西川社長)としている。ただ、中国は世界最大の市場だが、販売競争が激化している。このため「中国で販売台数を増やすためには収益の悪化は避けられない」状況だ。
「日産パワー88」で達成できなかった「利益率8%、グローバルシェア8%」に再挑戦することになる日産だが、コミットメント達成に向けたハードルは高い。「失敗したら、ゴーン氏によって明確な責任をとらされるのは確実」(自動車担当記者)なだけに、西川氏にかかるプレッシャーは大きい。日産が再び成長軌道に乗るための道のりは険しい。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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