ビジネスジャーナル > 企業ニュース > プログラミング、未修得で職失う恐れ  > 3ページ目
NEW

プログラミング、誰もが「知らないでは済まされない」時代突入…未習得だと職失う恐れ

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
【この記事のキーワード】, ,

「IT対応」できなかった人の末路

プログラミング、誰もが「知らないでは済まされない」時代突入…未習得だと職失う恐れの画像4発表会での説明資料

「プログラミングへの一定の知識や技術が、近い将来のビジネスでは欠かせない」という前提で、習得を怠るとどんな職業人人生になるのだろうか――。必要以上に煽る気はなく、冷静に考えたい。40代以上がかつて体験した「IT化」の歴史と、実例を踏まえて検討する。

 1990年代半ばの「Windows95」によるIT化の波により、各職場の執務風景がそれまでとは一変した。従業員には会社が購入したパソコンが貸与され、社外への連絡はメールで行うようになり、社内・部内の連絡もイントラネットなどで行われるようになった。基本はOJT(実務教育)で、IT化への対応を迫られたのだ。

 筆者は当時、大手メーカーで企画や編集の仕事をしており、紙媒体でもIT化の波を受けてデジタル入稿を行うようになった。面倒見のよい社風だったので、取引先のベテランデザイナー(紙媒体の制作者)にも、パソコンを使ったデジタル入稿の講習会を実施した。

 だが、なかにはデジタル入稿の技術を習得できなかった年配デザイナーもいた。本人は「これ以上、迷惑をかけるわけにはいきません」と職を辞し、取引も途絶えてしまった。

 少子高齢化が進む現在では、年齢別構成の未来予測に基づくと「2025年に全国民の3割が65歳以上になる」というデータもある。一方で「生涯現役で働きたい」という人の数は増えている。

 ただし、定年世代の「就労意欲」と現状の求人はミスマッチがある。「現役時代に培った業務の延長線上の仕事がしたい」求職者と、「特別な技術がない限りは、単純作業などの補助的な業務が多い」求人内容というギャップだ。

 この視点や、冒頭で紹介した「小学生から~」の話で考えると、プログラミング技術というのは有望だ。ただし、自らは独学で技術を会得した真子氏は、こうも釘を刺す。

「プログラミング技術習得の時間は、プロトタイプをつくれるレベルになるまで100時間、エンジニアとして働けるレベルになるまでは1000時間が目安です。かつての私のように独学で、周囲に質問できる人がいない場合は、この5倍かかるでしょう」

 たとえば「そこまで根気が続く自信はないが、プログラミング自体は気になる」という人には、1日講習会に参加する手もある。少なくとも生涯現役をめざすには、「なんとか逃げ切ろう」ではなく「IT社会の進展についていくしかない」のだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。最新刊に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)がある。これ以外に『カフェと日本人』(講談社現代新書)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。
E-Mail:takai.n.k2@gmail.com

プログラミング、誰もが「知らないでは済まされない」時代突入…未習得だと職失う恐れのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!