「記者体験会」に参加して感じたこと
筆者が6月下旬に参加したdivの記者会見は、通常とは違いユニークな内容だった。最初に「記者体験会」として、1時間のプログラミング実体験を実施したのだ。参加したのは出版社の編集者や記者などメディア関係者で、旧知の編集者の姿もあった。
体験会では、あらかじめインストールされた構成内容の画面表示に従って操作し、Rubyのプログラミングを作成すればサービスが完成するものだった。「座学ではなく徹底的に手を動かして覚える」という同社の方針に基づき、参加者はひたすら画面と向き合う。わからなければ、そのつど親切な若手インストラクターが教えてくれる――という内容の1時間だった。
残念ながら、筆者は「牛の歩み」で完成まで至らなかった。普段、ウィンドウズで作業しているので、使用したマックとの操作の違いに戸惑い、操作を進めるうちに何度もインストラクターの方にお世話になった。冷や汗をかきつつの体験会だったが、面白かった。次回行う時は、もう少し進歩するのではと感じた。
記者体験会の後は、説明会が行われた。そこで登壇した1人は、IT企業でカスタマーサポート(CS=顧客対応)業務を担う20代の若者だ。テックキャンプの卒業生だそうだが、「もともと文系で昔からプログラミングは好きではなく、今でも好きではない。それでも受講した」という話が興味深かった。現在の仕事では「CSツール改善業務」に携わっており、実作業を担うプログラマーやエンジニアの気持ちが理解できるようになったという。
プログラミングは知っておいて損はない。ビジネス誌の取材でも「副業で稼ぐ」というテーマで、プログラム技術を習得した人に話を聞いてきたが、「将来性を感じた」「このままではマズイと危機感を持った」との理由で習得し、稼げるようになった人もいた。
ところで、人工知能(AI)やロボティクスなどテクノロジーの進歩で、プログラミングも自動で行える時代は来るのだろうか。
「決められたプログラムを書くだけの単純作業はすでに自動化されつつありますが、新たに人間のアイデアを完全に理解してプログラムにする作業が自動化されるのは、数十年先だと思います」(真子氏)
米国の調査機関が「現在の仕事が20年後に機械に奪われる可能性」を調べたところ、たとえば「経理は97.6%」に対して「経理部長は6.9%」。「調理師は96.3%」に対して「シェフは10.1%」という結果が出た。指示された内容をこなす作業は機械に置き換えやすいが、相手の意図を理解して部下に指示を出すマネジメントや、来店客が喜びそうなメニュー考案といった、広い意味での「クリエイティブ系の仕事」は機械に置き換えにくいようだ。