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就活、人事担当者の覆面座談会…常識化する「二重選考」「インターン採用」の実態

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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インターン選考の実態

司会 インターン選考は、いつからどういうかたちで始まったのですか。

建設 昨年6年1日のインターンサイトのオープンから約1カ月後にエントリーを締め切り、参加申込者の面談を実施し、可否を決めます。これが事実上の一次面接に当たる。夏休みに事務系、技術系に分けて5日間のインターンを実施しました。期間中に学生の発言や振る舞い、グループのなかでどういう立ち位置にいるのかをじっくり観察できるのは魅力です。現場の担当者がどういう学生かを見て、人事が確認します。なかには現場から「ぜひうちに来てほしい」とオーダーを受けることもあるし、逆に「彼はうちではちょっと難しいのではないか」と言ってくる場合もあります。

IT 当社は夏に1dayインターンシップを開催し、その後に1週間のインターンシップを実施した。1dayでは業界・業種、それから自社の説明会を実施し、社員との交流会やグループワークを行う。いわば次のインターンシップ参加者の選考も兼ねている。これはと思う学生を絞り込んで非オープンのインターンに呼んで、ITスキルなどをじっくり見ている。当社の仕事の内容を知り、志望度を高めてもらうのが目的ですが、なかには優秀な学生でも自分のやりたい仕事ではないと引いていく学生もいる。でも互いのミスマッチを防止する意味でもよいことだと思っています。

食品 そこはインターン後のフォローでも大事な点です。定期的に工場視察や職場見学会、現役社員との交流会などを開催し、実際に選考までとぎれないようにしています。大事なのは学生のやりたい仕事が当社にあると思ってもらうことです。社員との交流で必ず学生が質問するのが「どうしてこの会社を選んだのですか」というものです。それに対して「ここしか受からなかったから」と答えると、学生はなんだとがっかりする。

 そうならないように社員には事前に教育し、たとえば「もともとこの業界はまったく興味がなかったけど、自分のスキルを高めて人に感謝される仕事をしたいと思っていたが、それがこの会社で叶えられると感じた」というような言い方ができるようにします。すると学生も会社に対する見方が変わります。

IT 採用する側もそう言われるとうれしい。志望動機で「貴社の商品が好きだから」という学生がもっとも多いが、一番嫌なパターンです。消費者目線ではなく、作り手、売り手の視点に興味を抱く学生に好感を持ちますね。

建設 インターン後に学生に「当社にいる大学のOB・OGと会いませんか」と誘いをかけますが、当然、会う社員は事前に選んでいます。OBには違いないが「あいつは会わせられない」という社員が必ずいますからね。

食品 19年卒のインターンシップはどうかわかりませんが、18年卒の夏のインターンシップの応募者を見るとGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)クラスが積極的に動いていました。その上の旧帝大、早慶クラスの学生はいつでもどこでも勝負できるという意識があるのか、意外と動きが鈍かった。GMARCH以下の学生も「えー、もう就活なの」という意識で動きが悪かったという印象です。

3月には面接開始

司会 インターンシップ参加者に実際に内々定を出したのはいつ頃ですか。

建設 3月の広報活動解禁と同時に個別に面談を進めます。通常の選考と同じように1次、2次、3次と重ねて最後は役員面談で採否を決めています。正式な選考解禁の6月の前なので「面接」という言葉は使えませんが、選考なので不合格者も出ます。ただし、合格、不合格という言葉も使えないので、パスした学生にはメールで、次の面談日を伝えています。そして5月の連休頃には内々定を通知するという流れです。

IT 当社も概ねそういう流れですね。おっしゃったように6月前なので次の面談日に呼ばれない学生には“お祈りメール”は出せないのでサイレント状態(合格・不合格を通知しない)になります。でもほとんどの学生は気づいていると思います。
(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)

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