筆者もチャレンジしてみたが、これなら絵心やセンスなどがなくても簡単に楽しめる上に、バリエーションも豊富。人と違ったオリジナリティあふれるフォンデュをつくれるという点も、特に若い女性にとってはうれしいポイントなのだろう。
アイスにチョコソースをかけ、トッピングでデコるだけ。子どもでもできるほど簡単だ。
6個提供されるピノは、時間がたつと溶け始めてしまう。そのため、基本的にピノをデコレーションしたらすぐに写真を撮って食べる……という流れで、あまり長居をすることがない。常に行列ができているものの待ち時間がほとんどないという事情は、この回転の速さゆえだろう。1セット400円とリーズナブルな点も、若者層にとってはうれしいところだ。
来場者からは、
「かわいくつくれたから、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にあげるのが楽しみ」(10代女性)
「これだけでもいろいろ個性が出せるから、おもしろいと思います」(20代女性)
といった意見が聞かれ、好評そのもの。
3年目の今年も大成功といってよさそうだが、そもそも、なぜこのような企画を立ち上げたのだろうか。森永乳業の広報担当者に話を聞いた。
SNSが甦らせたピノ人気
「ピノは粒で分かれているので、親御さまがお子さまに分けやすいというメリットがあります。そして、そのお子さまが成長して親となったときに、再びピノを分け与えるようになるので、ピノは親御さま世代やお子さま世代から、より深く親しまれているブランドです。
このような顧客層の循環を、弊社では『ピノサイクル』と呼んでいます。しかし近年になって、この間の世代、つまり『10代後半から20代のユーザーの底上げをしたい』ということから、若者世代に“体験価値”を高めていただき、それをPRにつなげるために、『ピノフォンデュカフェ』を企画するに至りました」(森永乳業の広報担当者)
ピノを“楽しい1粒”にする体験を提供することで、ユーザー層を広げようという狙いだ。そして、SNS全盛の今、デコレーションしたピノを撮影してツイッターやフェイスブックなどに投稿するという若者特有の行動も、ピノ復権に拍車をかけた。
「『ピノフォンデュカフェ』1年目の頃は、ツイッターに投稿されることが圧倒的に多かったのですが、昨年からはインスタグラムでの投稿も広がりを見せ始め、今ではツイッターを超える投稿数となっています。
ここのところ、『フォトジェニック』(写真映えのする)やそれに関連する“○○ジェニック”という言葉も流行っているので、弊社ではフォトジェニックなピノをもっと広めていただけるように、今年は“ピノジェニック”をテーマに自由度を高めたピノフォンデュを提供しています」(同)
最近は“インスタ映え”といったワードも流行っており、こういった時代の流れもピノフォンデュカフェの追い風になっている。森永乳業は、来年以降も引き続き“体験価値”をテーマに、思い出や写真として残せるプロモーションを企画するという。
これからは、ピノフォンデュカフェのように、既存の商品をより深く楽しむための方法を提供するようなプロモーション企画の有無が、ブランド生き残りのカギとなるのかもしれない。
(文=編集部)