ファミリーレストラン大手の「サイゼリヤ」が好調だ。
2017年8月期第3四半期(16年9月~17年5月)の連結決算は、売上高が前年比1.2%増の1089億円、本業の儲けを示す営業利益は同34.8%増の80億円となった。業績は好調に推移している。
サイゼリヤはコストパフォーマンスが高い飲食店として有名だ。たとえば「ミラノ風ドリア」が299円(税込、以下同)、「ペペロンチーノ」が299円という価格からわかる通り、本格的なイタリアン料理を低価格で楽しむことができる。パスタなどにサラダ・スープが付いたランチメニューは500円で、ワンコインメニューとして人気だ。
店舗数は国内だけで1000店の大台に乗せ、海外は中国を中心に300店を超える。店舗数は増加を続けており、既存店ベースの売上高は今期もすべての月(16年9月~17年6月)で前年を上回っている。
直近10期の売上高は一貫して増加している。07年8月期決算の売上高は828億円だが、16年8月期は1449億円にまで成長している。日本はデフレ不況から脱しきれず、可処分所得が伸び悩むなか、サイゼリヤは「デフレの申し子」として節約志向を強める消費者の受け皿となっている。
「ちょい飲みブーム」も追い風になっている。サイゼリヤはアルコール類も豊富で、しかも安い。たとえば、グラスワインは100円だ。デカンタで頼んでも、250mlで200円、500mlで399円となっている。
これだけ安くても、低級なワインではない。イタリアで、サイゼリヤ専用のタンクで発酵・熟成させ、新鮮さを保つために必要な分だけ、その都度ボトリングし、定温コンテナでイタリアから日本へ海上輸送する。これを店舗数が50店程度の頃から行っているというから驚きだ。
最近は、「サイゼ飲み」という言葉まで広まっている。サイゼリヤでは一般的な居酒屋よりも安く飲むことができるとして人気が高まっている。たとえば、ミラノ風ドリアとペペロンチーノ、グラスワイン4杯を注文しても1000円でお釣りがくる。多くの店舗が昼から深夜まで営業しているため、昼から飲んでいる酒好きの姿も見受けられる。
いまや、サイゼリヤは居酒屋を代替できる存在となっている。「お通し」はなく、1人でも気軽に利用できる雰囲気がある。アルコール類は、ワインのほかにビールもあり、ほうれん草のソテー(199円)といったおつまみも充実している。