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破綻秒読みと囁かれるルネサスエレクトロニクスの命運

ルネサス大株主の日立、三菱、NECに足並みの乱れ

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 NECの迷走は、日立と三菱には誤算だったに違いない。統合してできた新会社、ルネサスというのは、半導体事業(ルネサステクノロジ)をNECの半導体子会社、NECエレクトロニクスに売却するための装置だった。3社はルネサスをそれぞれ持分法適用会社としたが、日立と三菱は、ロックアップ後に株式を売却する意向を固めていた。ロックアップとは、新規公開や株式の売り出しに際して、株価安定のために、大株主などに一定期間、市場で持ち株を売却しないことを約束させる契約のことだ。日立と三菱は、ロックアップ解除後に、ルネサス株式を売却して持分法適用会社から外すつもりでいた。ルネサスはNECの子会社に組み込まれるはずだった。存続会社をNECエレ、筆頭株主をNECにしたのは、そのためだ。

 ところが、NECの経営が失速。出資比率を3%に落として、ルネサスから、事実上、降りてしまった。三菱電機の山西健一郎社長が「支援要請があれば、日立とNECと協議し、何らかの対応を考えたい」と述べた真意は、「出資に応じるかどうかは日立次第」ということだ。ルネサスの赤尾社長は日立出身である。筆頭株主だったNECが抜けたので、三菱は追加出資に応じるかどうかの判断を日立に丸投げしたわけだ。

 日立本体は価格変動が激しい半導体から既に撤退している。日立、三菱、NECの3社は、パソコンなどの記憶装置に使われる「DRAM」事業を、2月に会社更生法適用を申請したエルピーダメモリに、DRAM以外の半導体をルネサスに集約した。

 日立はエルピーダの筆頭株主だったが、08年3月に全株を売却して、半導体事業から撤退した。今後は、収益向上が見込める発電設備をはじめとする社会インフラ事業などに経営資源を集中する方針を明確にしている。ルネサス設立前後の増資のための出資金(3社で約2000億円)を日立は、半導体事業から手を引く”手切れ金”とみなしている。今さら、ルネサスに追加出資できるわけがない。追加出資に応じたら、株主に説明がつかなくなる。

 ルネサスが3社に対して追加出資を求めても、調整が難航するのは目に見えている。大株主が追加出資に応じなければ、メガバンクが追加融資に応じられないのは自明のことだ。

 一方、政府(=経済産業省)は、性懲りもなくルネサス救済に動いている。「トヨタ自動車に出資を打診したことが明らかになった。トヨタは『あそこは日立さんがついている会社だからねぇ。ウチは勘弁してくれ』と断ったという」(「東洋経済オンライン」4月25日付)

 自動車業界とルネサスの関係は深い。東日本大震災でルネサスの主力である那珂工場(茨城県ひたちなか市)が被災して生産停止に追い込まれたが、同社は自動車のエンジンを制御するマイコンで世界シェア40%を占めていたから、サプライチェーン(部品供給網)の寸断に追い込まれ、国内の自動車メーカーは大幅な減産を余儀なくされた。だから、「ルネサスが潰れたら、自動車産業は困るではないか」と、経産省はトヨタに出資を打診したわけだ。

BusinessJournal編集部

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