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「世界のSEIKO」失われた輝き…東京五輪で公式時計に不採用、盟友エプソンと腕時計戦争

文=編集部

インバウンド需要の後退

 セイコーウオッチの持株会社、セイコーHDの17年3月期の連結決算(日本会計基準)の売上高は前期比13%減の2571億円、営業利益は同44%減の74億円と大きく落ち込んだ。主力のウオッチ事業の売上高は1345億円で前期より299億円の減収、ウオッチ部門の営業利益は76億円と前期より51億円の減益だ。一時はインバウンド(訪日外国人)需要で潤ったが、インバウンド需要が後退。高級品が伸びず業績が悪化した。

 20年の東京オリンピックのオフィシャルタイマー(公式時計)担当はスイスのオメガ社である。オリンピックで歴代もっとも多く採用されているのはオメガ社。東京オリンピック開催決定前からオメガ社に決まっていたが、世間はSEIKOブランドが輝きを失った出来事と受け止めた。

 というのも、1964年の東京オリンピックではセイコーのクォーツ時計がオフィシャルタイマーに採用された。タイム測定に使われたのはデジタル(文字表記)のストップクロック。このクロックもセイコーが提供したもの。世界に「SEIKO」ブランドをアピールする機会となった。

 1970~80年代、「SEIKO」は「SONY」や「Canon」とともに、世界で最も輝いていた日本のブランドだった。「セイコーが名門オメガを買収する」といわれたのもこの頃だった。スイス政府の猛反対にあって結局、買収できなかったといわれている。セイコーの黄金時代だった。

スイスの高級時計が腕時計市場を席巻

 現在は様相が一変した。スイスの高級腕時計が世界市場を牽引する。

 日本時計協会の統計によると、2016年のウオッチ完成品の国内市場規模は7867億円。国内メーカー品が1860億円で構成比は24%。輸入品が6007億円で76%、輸入品は高級品がスイス製、低価格品が中国製だ。国内メーカーは、かつてはセイコーが時計の代名詞だったが、今では力関係が拮抗してきた。

 1位はカシオ計算機、17年3月期の時計事業の売上高は1696億円。エレクトロニクス技術を生かしたデジタル腕時計「G-SHOCK」が国内外で人気を得た。年間販売で850万個を記録した。2位はシチズン時計で、17年3月期の時計事業の売上高は1636億円。3位がセイコーHDで17年3月期のウオッチ事業の売上高は前出の通り1345億円。カシオやシチズンに水を開けられた。

 エプソンは、セイコーウオッチへのOEM供給から、自社ブランドの腕時計メーカーへの脱皮を図り、年商1000億円を目指す。カシオ、シチズン、セイコーの腕時計大手3社のなかに割って入ることを狙う。セイコーエプソンとセイコーウオッチが、シェア争いで火花を散らすことになる。
(文=編集部)

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