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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

人気だったシャープのTwitterは、なぜ炎上&停止に?批判の無視は許されないのか?

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

シャープ製品の問題のツイートには他者が大切に感じているものを貶める内容が含まれていました。いくらプライベート感覚溢れる身近なツイートだったとしても、他者を不快にする発言が含まれていますと、背景の企業や組織に対して、その管理責任を問う声が発生しやすくなります。政治家のように思想や信条を表明して意見を発信する仕事であれば、異なった意見との対立も必要な側面がありますが、企業が商品・サービスを提供する場合には、無駄な敵をつくらないことは必須の条件です」(同)

当たり障りないツイートでは意味がない

 しかし、炎上を気にしてばかりでは企業も動きづらいはず。炎上騒動の幕引きは、企業が謝罪することが大半だが、そういった反応を無視することはできないのだろうか。

「好感度を維持することが命題である企業において、それがたとえネット内のごく一部の批判であったとしても、無視することはできません。むしろ、スマホの普及で個々人にまで発信メディアがいきわたった現代では、ネットで拡散されることから被る影響を甘くみることは難しいでしょう。その意味で炎上への対応は、せざるを得ないというところではないでしょうか」(同)

 だが、当たり障りのない内容ばかりツイートしたところで話題にはならない。スルーもされず炎上もしない、企業アカウントの適切な活用方法が気になるところだ。

「個人や組織の主観的な意見や、使用する用語が適切か否かは時代や社会背景によって判断が異なります。ですから、一概にこれが正解というものはないでしょう。ただし多くの人が興味を持ち、他者に紹介したくなるトピックにするためには、何かしら“新鮮”な要素が含まれていることが必要です。共感を得る情報を企業側から発信するためには、さまざまな世代や趣向を持った人材を集めて、何が新しいのか、どのようなことに興味・関心を持ってもらえるのかを吟味し続けなくてはならないのです」(同)

 共感は反感よりも深く考えなければ発信しづらいもの。ネガティブな意味ではなく、日常会話で話題に上がるような企業情報を発信することは、情報過多の現代では非常に困難な作業だ。それでも企業はそれに挑戦していかないと埋もれてしまう時代なのであろう。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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