ハウステンボス(HTB)は、今後1年をめどに、ロボットホテル「変なホテル」を東京都内5カ所程度で開業するという。長崎・ハウステンボスをはじめ、3月にオープンした千葉県浦安市、8月にオープンした愛知県蒲郡市のホテルが好調なことが要因だ。
都内進出は、ロボットホテルがビジネスホテルとして受け入れられるかどうかの試金石になる。
「変なホテル」は、2015年にハウステンボスの園内にオープンしたのが最初だ。多言語対応の恐竜ロボットがフロントでチェックイン・チェックアウトの手続きを行い、コミュニケーションロボットが利用者の滞在をサポートする。園内のホテルでは、第3棟を18年7月に開業し、現在の144室から200室に増設する。
製造業の現場では、作業を行う従業員をロボットに置き換えて人件費を抑制している。その手法をサービス業のホテルに取り入れた。接客はロボットが行い、人件費を大幅に圧縮して利益を出すビジネスモデルだ。生産性の高さを前面に打ち出している。
第2弾は今年3月15日、千葉県浦安市に開業した。ハウステンボス内の施設同様、フロントや客室でロボットを活用し、7人だけで運営する。市内にある東京ディズニーリゾートを訪れる家族や訪日客らの利用を見込んでいる。
3番目のホテルは8月1日、愛知県蒲郡市にオープンした。親会社のエイチ・アイ・エス(HIS)が運営する複合レジャー施設「ラグーナテンボス」に直結している。清掃とレストランを除いて、全100室を8人で運営する。通常の同規模のビジネスホテルでは30~40人の人員が必要だという。
これら3つのホテルが好調なことから、都内に進出することにしたわけだ。これまでの3つのホテルはテーマパーク内か、それに隣接しており、家族連れを対象にしている。子供たちにロボットは大人気だ。
一方、都内のホテルは純然たるビジネスホテルの形態となる。ビジネスパーソンがロボットによる接客にとまどう可能性は高く、人気のホテルになるという保証はない。
HTBは大阪府や、台湾、中国・上海など国内外に「変なホテル」の進出を計画しており、都内のホテルは今後の進出の成否を占うショーウィンドウとなるわけだ。
HISの16年11月~17年7月連結決算は、売上高が前年同期比12%増の4151億円、営業利益は3%増の81億円。最終損益は87億円の黒字(前年同期は11億円の赤字)で過去最高となった。テロが相次ぎ、欧州を中心に海外旅行が低迷していたが、これが回復した。このうちHTBグループの売上高は13%増の249億円、セグメント営業利益は3%増の51億円。HISの営業利益の6割を叩き出した計算になる。HTBがHISの収益の柱のひとつに育った。
ホテル事業の売上高は4%増の53億円、セグメント営業利益は19%増の6億円。「変なホテル」が寄与したことになる。
HISの澤田秀雄会長兼社長は、ホテル事業を旅行、HTBに次ぐ第3の柱に育てたい考えだ。ロボットを使い効率運営する「変なホテル」が東京のビジネス客に受け入れられるのだろうか。
同ホテルについては、「利用者目線が不在」という厳しい指摘もある。
(文=編集部)