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一通り概況を聞き終え、仕入れの方法や販売方法、在庫の棚卸し状況を聞き取りました。販売は、おおむねアマゾンを利用しているらしく、セラーセントラルの画面を確認する必要がありました。セラーセントラルとは、アマゾンで商品を販売する業者向けの出品管理ツールです。出品する商品の登録や管理、売上高、アクセスデータを分析できます。
次に預金通帳を確認しました。セラーセントラルの売り上げと入金の差異を、ひとつずつ確認し、売り上げの計上漏れを探します。アマゾンをメインに売り上げを積んでいるため、その他の収入を計上していない可能性は十分にあります。案の定、「ヤフオク!」などに出品した商品の売り上げは、収支内訳書に転記されていませんでした。
売り上げと異なり、仕入れはインターネットを利用したものから、大手チェーンの古書店、神保町の古書店、雑貨店など、多岐に渡りました。在庫の管理はエクセルで行っていたので、セラーセントラルのデータと合わせて、USBメモリに保存して持ち帰りました。税務署に戻ってからデータを確認するのですが、今から10年前にはUSBメモリを使うような調査手法はまれでした。
今回の調査では、売り上げの一部を除外していたため、本税のほかに重加算税と延滞税で300万円ほどの追加納税となりました。ほとんどの納税者が、事業開始直後は「申告はちゃんとやろう」「ちゃんと納税しよう」「きちんと記帳もしよう」と考えます。しかし、数年も経つと、「どうせ税務調査なんて来ないんだから、経費を増やしたり、売り上げを抜いたりしてもいいだろう」という、恣意的で甘い考えを持ち始めます。そのような甘えは、必ず帳簿や確定申告書に反映されます。その些細な変化を調査官たちは見逃さず、調査にやってくるのです。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)
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