狙うは世界進出
この数年、売野氏をメディアで見かけることは少なかった感があるが、実は2000年から13年までは舞台演出に情熱を注いでいたという。現在は、ロシア人デュオのMax Luxのプロデュースを手がけている。その一方で、作詞の依頼も後を絶たず、多忙を極めている。
「仕事に火がつくと、つい時間も忘れて徹夜してしまうので、しばらく体調が悪かったんだ。特に、今プロデュースしているMax Luxのライブの前後は、体温が下がりすぎたりと具合が悪かった」(同)
こう語るが、去る9月6日に東京・目黒のブルース・アレイ・ジャパンで行われた Max Luxのライブに現れた売野氏は、具合の悪さなど微塵も見せなかった。そのプロフェッショナルな姿勢には脱帽する。
Max Luxのライブはチケットも早々と完売し、大盛況だった。ライブが終わるとすぐに追加公演が決まったほどだ。
売野氏は、Max Luxのプロデュースで世界進出を目指している。Max Luxは、現在のメンバーになるまで何人も入れ替わっている。初代は3人のロシア人で構成され、売野氏はドリームガールズのようなコーラストリオをイメージしていた。初代メンバーは12年から半年にわたり、明石家さんまが司会を務めた『サタデー・ナイト・ライブJPN』(フジテレビのCS放送「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」)でレギュラーに大抜擢され将来を有望視されたが、13年にメンバーが入れ替わり、まったく新しいMax Luxとなった。
メンバーの入れ替わりは、特に問題があったわけではない。売野氏はメンバーを選ぶ際、歌のうまさはもちろんだが何よりも性格の良さを重視するという。
「歌は、なんでも出る。たとえ歌が上手でも、声で内面がわかる。僕は、魂が喉を震わせて声が出ていると思っている。だから、声がその人の人生に対する態度を表している気がするんだ」(同)
歌だけではない人間的な魅力でも、Max Luxの現メンバーは世界進出を狙えると感じているという。数えきれないほどのヒット曲を生み出した売野氏の目に狂いはないだろう。
次回のMax Lux ライブは10月18日、ブルース・アレイ・ジャパンで行われる。今後のMax Luxの活躍が楽しみだ。
(文=道明寺美清/ライター)