5回も事故が続いた厄年
作詞家として不動の地位を築き、仕事が乗りに乗っていた42歳の頃、交通事故が5回ほど続いたという。
「それまで僕にはジンクスみたいなものあって、何か成功する前やヒットが出る前には、車にぶつけられたり事故があった。だから1回目は、『おおこれは!』と思った。それから次の月も、それも同じ日にまた事故が遭って『2回も続いてどんな大きな成功があるんだろう!』って期待したんだよ。そうしたら、しばらくしてまた事故。3回目はね、もう喜んでいられない。結局、5回ほど事故が続いて、『これはジンクスじゃないな、もしかしたら誰か命を取りに来てるんじゃないか』と心配になって、周りの人に相談したんだよ。そしたら知り合いのひとりに『厄年ですよ』って言われて、『そんなことあるかな』って驚いたよ」(売野氏)
それまでの売野氏は、合理主義な考えで現実的でないことは信じずに生きてきた。しかし、その時ばかりはどうにかしなければと思ったという。
「『厄年って何?』という感じだったけれど、5回も事故に遭っているから悠長にしていられなかった。知り合いが『売野さん、茅ヶ崎の寒川神社に行ってお祓いして』って言うから、行ったんだよ」
当時、多忙を極めた売野氏だが、1日休みを取り、ひとり電車に乗って寒川神社に向かったという。
「電車を乗り継いで、最後は寒川駅から寒川神社まで歩いたんだが、えらく遠く感じたのを覚えている。そして知人に言われた通りにお祓いしてもらったら、お祓いの最中に背中から熱いものが出てきて頭から抜けて行ったような感じがあって、終わったら世界が変わったんだよ。視界がクリアで明るくて、すべてがキラキラして見えた。その後、事故もなくなったんだ。それからは毎年、お祓いに行っている。それをきっかけに、目に見えない何かがあるという考えに変わった。スタッフやほかのアーティストなんかも連れて行っているけれど、お祓いしてからメジャーになったアーティストもいるよ」(同)
筆者も売野氏と同じく、目に見えない何かがあると信じる。茅ヶ崎の寒川神社は、一度訪れたいと思う。