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希望の党、自民党に賛成し「残業代不払い容認&解雇容易化」法案成立の可能性

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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 これを見て、「またか」という感想を禁じ得ない。というのは2014年12月の衆院選で、自公は326議席を獲得し大勝したときも同じだったからだ。

 実はこの時期、政府の審議会では高プロ制度の審議が大詰めを迎えていた。12月の審議会では高プロ制度の具体的対象者について議論を行う予定だったが、なぜか選挙中に審議は開催されなかった。しかも選挙の自民党の政権公約に一言も記載されていなかったし、もちろん選挙戦で触れることもなかった。結果的に自民党は大勝し、その後、審議会で法案審議が加速し、法案が閣議決定された(前述したように国会では議論されなかった)。

解雇規制の緩和

 高プロ法案については今回の選挙で立憲民主党や社民党、共産党は公約や街頭演説などで反対を表明している。一方、日本維新の会は公約(政策)で「労働時間ではなく仕事の成果で評価する時間給から成果給へ」と掲げている。これは高プロを「脱時間給」と位置づける一部の新聞と同じで、要するに法案に賛成し推進するという意味だ。

 高プロ法案に反対していた前民進党議員が多い希望の党の公約だが、こちらも高プロ制度については一切触れていないのだ。「長時間労働の規制」や「同一労働同一賃金の実現」という自民党とまったく同じフレーズを掲げているだけだ。

 小池百合子代表が法案に賛成なのか反対なのか真意はわからない。気になるのは東京・大阪での衆院選候補者のすみ分けで連携した大阪維新の会が、法案に賛成していることだ。

 注目すべきは、小池代表と大阪維新の会の松井一郎代表が選挙区で合意することになった会談を設定したのが、竹中平蔵東洋大教授だったという点だ。竹中氏といえば、小泉純一郎政権下で閣僚を務め、労働者派遣制度などの労働規制緩和を推進し、安倍政権でも労働規制や国家戦略特区などの規制緩和で重要な役割を担った人だ。小池代表の小池塾でも講師を務めている。竹中氏と小池氏の考え方は近く、規制緩和を重視する新自由主義者と見なす向きもある。
 
 竹中氏が経済ブレーンを務める維新の会は公約で「労働契約の終了に関するルールを明確化し、解雇紛争の金銭解決を可能にする」と謳っている。いわゆる解雇規制の緩和である。解雇の金銭解決制度は今後、政府の審議会で検討される予定になっている。

 今後の小池代表および希望の党の動向しだいでは、労働時間規制の緩和にとどまらず、解雇規制の緩和が一挙に加速する可能性がある。
(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)

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