2025年までに海外を中心に6000店体制を目指す
創業者の粟田貴也氏は1961年、神戸市生まれ。神戸市立外国語大学を中退後、学生時代の喫茶店アルバイトの経験から飲食での起業を目指す。開業資金を得るために佐川急便のセールスドライバーとなり、開業資金を貯めて85年に兵庫県加古川市に焼き鳥店「トリドール3番館」を創業した。栗田氏23歳の時だ。そして90年、トリドールコーポレーション(現トリドールホールディングス)を設立した。
2000年に新業態店「丸亀製麺加古川店」を開店したことが転機となった。香川の地元のうどん店だけが全国区の人気を誇っていた。栗田氏は、やり方を変えれば商機があると考えた。
主力商材は280円の自家製麵うどんだが、これに出来たてのトッピングを組み合わせることで、顧客満足度の向上と客単価の引き上げを同時に実現。丸亀製麺は人気店となり、業態を焼き鳥店からうどん店に転換した。
06年に東証マザーズに上場し、08年に東証1部へ指定替えになった。今や、丸亀製麺は全国区の知名度を誇るまでに急成長を遂げた。
粟田氏が次のターゲットにしたのが海外市場だ。トリドールHDは海外事業を成長の柱に据えている。25年に世界6000店舗体制で売上高5000億円を目指す。このうち海外事業は4000店で、売り上げ2900億円としている。国内事業は丸亀製麺など既存事業が1300店・1300億円、新規事業で700店・800億円を計画している。
17年3月期の連結決算(国際会計基準)の売上高にあたる売上収益は、前期比6%増の1017億円、当期純利益は8%増の56億3100万円だった。このうち丸亀製麺の売上収益は855億円と、全社の84%を占める。海外事業のそれは58億円にとどまる。店舗数は国内877店、海外334店の1211店。これを、25年には17年3月期比で海外事業の店舗を12倍の4000店、売上収益は50倍の2900億円に引き上げる計画だ。
海外展開を見ておこう。12年、ハワイに海外1号店を出店したのを皮切りに、以後、中国、台湾、マレーシア、タイ、インドネシアなど東南アジアを中心に展開してきた。今年8月16日には、フィリピンの首都マニラに讃岐うどん店、丸亀製麺1号店を開設。フィリピンで飲食店を運営するB.V.キュイジーヌがフランチャイズ方式で展開し、20年までに10店舗をオープンする予定だ。
だが、海外展開の本命は欧米進出だ。ロサンゼルス1号店を足掛かりに、欧米市場への進出に本腰を入れることになる。
18年3月期の売上収益は、前期比8%増の1096億円、純利益は1.5増の57億1400万円を見込む。成長戦略と増益を好感し、株価は上昇している。10月12日に3690円と年初来の高値をつけた。ここ10年来の高値だ。
満を持して米国に上陸したUDONは、ラーメン、寿司に次ぐ日本食として市民権を得ることができるのだろうか。
(文=編集部)