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世界タコ焼きグランプリ!ひたちなか市、よそ者&実務家巻き込む「ガチのまちおこし」が大成功

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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世界タコ焼きグランプリ!ひたちなか市、よそ者&実務家巻き込む「ガチのまちおこし」が大成功の画像6「明石×ひたちなか」対決で用意されたタコ

明石市長も驚いた、「タコ日本一」宣言

 各地の地方取材をした経験から、ひたちなか市は「商工会議所」(会議所)と「市」の連携がとれた街だと感じる。最大の仕掛け人は、会議所会頭と観光協会会長を兼務する鈴木誉志男氏(サザコーヒー会長で、起業前は東京楽天地で映画の興行プロデューサー)だが、それぞれの実務家が専門分野で街おこしに取り組む。

 たとえば、「魚のおいしいひたちなか推進協議会会長」は、水産加工業・あ印社長の鯉沼勝久氏が務める。同氏は、大学で経営学を学んだ後、明治20年創業の家業に入社した。会議所の水産業部会副部会長だったころ、「ひたちなかの加工ダコの生産量は日本一」との情報を寄せたのがきっかけで会議所内に「タコの街特別委員会」ができ、鯉沼氏が委員長となった。

「昔は茨城県沖で多く獲れたタコも、現在はモロッコ、モーリタニア、セネガルなどのアフリカ産が中心です。当社はそれを冷凍輸入して加工し、国内や米国などで販売しています。タコは食べやすく、生活改善病に効果があるとされるタウリンや、亜鉛を多く含む優秀な食材です」(鯉沼氏)

 業界内では「蒸しダコを広めた会社」として知られるあ印は、「中華たこ山菜」や「中華いか山菜」などのロングセラー商品も持つ。こうした知見も含めて、タコを中心に街おこしを本格始動させようとしていた矢先に東日本大震災が起きた。しばらく関係者は茫然自失だったが、「風評被害に負けない」を合言葉に活動を再開させ、震災翌年から始まったのが前述のタコイベントだ。勢いに乗って15年に、タコの生態や料理法を載せた『「タコ日本一」宣言』という本も出版した。ここで明石市との橋渡し役を担ったのが、ひたちなか市の本間源基市長だ。

世界タコ焼きグランプリ!ひたちなか市、よそ者&実務家巻き込む「ガチのまちおこし」が大成功の画像7会議所が出版した『「タコ日本一」宣言』の本
世界タコ焼きグランプリ!ひたちなか市、よそ者&実務家巻き込む「ガチのまちおこし」が大成功の画像8ひたちなか市長の本間源基氏

「会議所から『本まで出してしまったけど、本場・明石市に仁義を切ったほうがよいのではないか』と意見が出ました。実は、泉房穂明石市長と私は同じ大学の先輩後輩で『赤門市長会』で面識があった。そこで赤門市長会の総会の時に本を持参して渡したところ、『これはウチ(明石)のことだ。なんですかこの本は』と驚いていました。でも、それがきっかけで、ひたちなか市の活動に興味を持ち、みなと産業祭のタコ対決の交流へとつながったのです」(本間氏)

 泉氏の実家は3代続いたタコ漁師で、本人は東京大学卒業後にNHKに入局して番組制作を行い、ディレクターを務めた後、政治家に転じた経歴を持つ。そうした出自や元演出家としての好奇心も、結果的によかったようだ。

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