ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 日産の検査不正、保険会社に大打撃か  > 2ページ目
NEW

日産の検査不正、大手保険会社の業績に大打撃か

文=編集部

日産自動車SUBARUの無資格検査問題の影響を懸念

 悪い時には悪いことが重なるもので、日産自動車とSUBARU(スバル)の「無資格検査問題」が思わぬかたちで飛び火するかもしれない。販売停止の長期化より、顧客離れが心配という声が出ているのだ。

 自動車保険を販売する代理店を自動車メーカーのディーラーが兼務していることから、新車購入と同時に保険に加入することが多いという。新車販売の落ち込みが保険の売り上げに悪影響を及ぼすことが考えられる。

 もっとも懸念されるのは、リコール費用だ。自動車メーカーはリコール保険に加入している。SUBARUはリコール関連の費用を200億円と見込んでいる。日産は250億円とリコールの台数に比べて少ない見積もりになっているが、SUBARU並みに計上すればもっと膨らむ。

 無資格の従業員に新車の完成検査をさせていたという不正行為によるリコールなので、物理的な不具合によるリコールとは大きく異なる。保険金の支払いに発展するかどうかは不透明だが、いずれにしても今後の業績にとって懸念材料である。

保険金支払額の最高は、世界では米9・11テロ事件、国内では3・11東日本大震災

 損保各社は大規模な地震や台風など自然災害が起きた場合に保険金の支払いに充てるため「大災害債」を発行している。東京海上日動は15年に「期間4年、発行額350億円」、三井住友海上は16年に「期間4年、発行額227億円」の大災害債を発行した。

 損保ジャパン日本興亜は17年3月までにドル建てで4億8000万ドル(約520億円)を発行。国内損保のなかでは最高額だ。100年に1度起こると想定される巨大台風が対象で、期間は4年。

 償還になると、少なくとも年2%の利回りが得られる。世界的な低金利のなか、年金基金など機関投資家に人気があった。しかし、大規模な自然災害で保険会社の支払いが膨らむと投資家がその一部を肩代わりすることになり、元本が毀損する。イルマなどの損失は損保3社だけでなく機関投資家にも影響を及ぼすことになる。

 保険業界史上最高額の保険金支払額は、米国の「9・11同時多発テロ事件」だ。01年9月11日、ニューヨークはテロリストの攻撃を受け、おびただしい数の人命が奪われ、ツインタワーも崩壊した。業務の中断、物損、生命保険など多くの対象に支払われた保険金の総額は400億ドル以上(当時の円換算で3兆2000億円)に上ったといわれた。

 国内の地震保険支払額は11年3月11日の東北地方太平洋沖地震の1兆2749億円。東日本大震災に係わる支払保険金は、静岡県東部、宮城県沖、福島県浜通りを震源とする地震などを合わせて合計1兆3156億円に達した。16年4月の熊本地震の支払い保険金は3753億円である(日本地震再保険会社調べ)。

 風水害等による保険金の支払いは、日本損害保険協会の調べで、1991年9月の「平成3年台風19号」の5680億円が最高だった。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

日産の検査不正、大手保険会社の業績に大打撃かのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!