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アサツー ディ・ケイにTOB、上場廃止へ…提携企業に異常な高額配当

文=編集部
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異常な高額配当要求

 それにしてもADKはなぜ、約20年間提携関係にあったWPPに三下り半をつきつけたのか。米通信社ブルームバーグの10月18日付のインタビューで、ADKの植野伸一社長は「我々はWPPの子会社ではない。彼らが自らの利益を優先してくるところが大きかった」と、提携解消を決断した理由を明らかにした。これは異常な高額配当のことを指している。

 ADKは2010年12月期決算で最終赤字に転落した。これ以降、WPPの意向がはっきり表面に出てくる。11年12月期決算以来、異常な高配当を実施することになる。

 それまで1株当たり年間配当額20円だったのが、11年12月期は特別配当89円を含め109円、14年12月期に至っては特別配当526円を実施し、配当金の総額は571円となった。配当性向(純利益から配当に回す割合)は30%程度が普通だが、14年12月期の配当性向は646.5%。稼いだ純利益の6.5倍の配当を支払ったことになる。

 WPPはADK株を1033万株保有している。11年12月期から16年同期までにWPPは132億2240万円の配当金を手にしたことになる。ADKは最終利益以上の金額を配当に回さざるを得なくなり、会社資産の切り売りに追い込まれた。

 植野氏は社長に就任した翌年の14年からWPPとの資本業務提携解消に向けて協議を進めてきたが、合意に至らなかった。WPPは徹底抗戦し、“植野切り”に動く。3月29日に開催したADKの定時株主総会で植野氏の再任に反対票を投じた。植野氏の再任賛成率は59.49%で、かろうじて承認された。

 ADKはベインをホワイトナイト(白馬の騎士)として招き、WPPの排除に踏み切った。“脱WPP”の施策の第1弾が高額配当の是正である。

 ADKはベインのTOBを受け入れると発表した10月2日、17年12月期の配当予想を修正。TOBが成立することを条件に、期末配当を実施しないとした。TOBに応募する株主と応募しない株主との間に経済的差異が生じるというのがその理由だ。これで年間配当は中間配当金の10円のみとなる。16年12月期の年間配当金100円から10分の1に減る計算だ。

 WPPの言いなりになって支払ってきた高額配当と決別し、身の丈に合った配当に戻すことを宣言したといえる。

 株価はTOB不成立のリスクを懸念して一時3390円(11月20日の安値)まで売られたが、TOB成立の可能性が高まったことで急反発。11月22日は3650円(5円高)まで戻した。

 ADKはTOBが成立した後に臨時株主総会を開き、株式の上場廃止を決議する。
(文=編集部)

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