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不正のデパート・神戸製鋼所と安倍首相

文=編集部

不正を繰り返す社風

 不正のDNA(遺伝子)を持つ神戸製鋼所の信用が溶けていく。10月8日に最初のアルミ・銅製品の不正を公表して以降、毎日のように新たな不正が発覚し、トップの川崎氏の発言も二転三転してきた。

 当初、不正は「アルミ・銅製品のみ」としていた。10月12日に報道陣に対し「鉄鋼製品では不正はない」と豪語したが、翌13日の会見で発言を180度訂正し、改ざんがあったことを認めた。出身母体の鉄鋼部門で不正があったのに、正確な情報が上がっていなかったわけで、“裸の王様”であることがあらわになった。

 検査データ改ざん問題では、子会社コベルコ マテリアル銅管(益野裕社長)が生産する一部の銅管製品がJISの認証を取り消された。JISは品質のお墨付きのようなものだ。神鋼グループは、この10年で3度目のJIS認証の取り消しとなり、ずさんな管理体制をさらけだした。

 川崎氏は10月13日に初めて開いた社長会見で「安全性の検証、徹底的な原因究明が私の使命、進退の議論が出るなら慎重に考えたい」と進退について明言しなかったが、辞任は不可避だろう。

 13日の社長会見も経済産業省で12日に取材に応じた川崎氏が「鉄鋼で(不正は)ない」と発言したのが1日でひっくり返ったため、緊急会見となった。

 調査対象である川崎氏をトップに据えた品質問題調査委員会に全容解明を委ねられることへの疑問が記者会見で相次いだが、「難局を乗り切るのが先。私がリーダーシップを発揮してやる必要がある」(川崎氏)と反論した。

 川崎氏自身に、調査委員会のトップに就くことへの違和感がないのは「問題を起こしたのは現場。経営者の責任ではない」という“おごり”があるからだ、との厳しい指摘がある。品質問題調査委員会での原因究明は、利害関係者を厳密に排除した第三者の手で行われなければ、再び「臭いものに蓋」をすることになるのは誰の目にも明らかだ。

 神戸製鋼所が不正を繰り返しているのは、トップを含めて会社全体に「責任の重い製品をつくっている」という意識が欠けているからだ。自動車、新幹線、航空機から飲料のアルミ缶まで、国民生活全体に影響が及ぶということに思い至らない経営者の未熟さが浮かび上がってくる。納入先企業は海外を含めて525社に達するが、社名を明らかにすることを拒んでいる。

BusinessJournal編集部

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