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不正のデパート・神戸製鋼所と安倍首相

文=編集部

総会屋との腐れ縁は長くて深い

 神戸製鋼所の不祥事に驚く産業人はいないだろう。「不正のデパート」と陰口を叩かれるほどで、不祥事は今に始まったことではないからだ。

 99年には、総会屋・奧田一男氏への利益供与事件が発覚した。翌年3月、金銭提供などの商法違反で元専務ら3人が大阪地裁で有罪判決を受けた。当時会長だった亀高素吉相談役が辞任した。総会屋との腐れ縁は長くて深い。

 神戸製鋼所は戦前の大商社・鈴木商店を源流とする名門企業、で1905年の創業だ。戦後、川崎製鉄は千葉県に高炉を建設、住友金属工業は小倉製鋼を吸収合併し、それぞれ鉄鋼一貫メーカーの道を歩み始めた。出遅れていた神鋼は尼崎製鉄(尼鉄)を吸収合併した。

 合併後、神鋼社長の外島健吉氏と尼鉄社長の曽我野秀雄氏が対立。曽我野は右翼の巨魁・児玉誉士夫氏のもとに駆け込んだ。児玉氏は外島氏追い落しに力を貸すと約束したが、途中で外島氏側に寝返った。神鋼は児玉氏側が持つ福島県西白河郡の5億円の土地を32億円で買い上げた。児玉氏側への謝礼であった。

 この時、総会屋の木島力也氏が児玉氏のダミーとして、神鋼内部に深く喰い込んでいく。神鋼は総会屋の呪縛でがんじがらめになった。「東の木島(力也)、西の奧田(一男)」が神鋼の総会屋といわれた。木島氏の死後は、その後釜に座った小池隆一氏が利権を引き継いだ。

 小池氏は空前の金融スキャンダルに発展した野村證券・第一勧業銀行事件の主役である。第一勧銀が木島氏の子分の小池氏につけ込まれたのは、木島氏のバックにいる児玉氏の影に怯えて呪縛が解けなかったからだ。神鋼もまたしかりで、児玉の呪縛に金縛りになった。

「児玉と握手して、社長の椅子を手に入れた」といわれた鈴木博章氏(11代)以来、亀高素吉氏(15代)、熊本昌弘氏(16代)、水越浩士氏(17代)の歴代社長は、総会屋の窓口である総務部長や総務担当役員を経てトップに昇り詰めた。総会屋担当の総務部長が社長への登竜門と皮肉られた。

 2006年、神戸、加古川両製鉄所で基準値を超えるばい煙を排出しながら、データを改ざんして自治体に報告していた。

 09年には加古川製鉄所、高砂製作所のほか、今回のアルミ製品不正が発覚した長府製造所で、地方議員の後援会に政治資金規正法が禁じている寄与をしたことが明らかになった。当時の水越浩二会長と犬伏泰夫社長(18代)が引責辞任した。

 これで文系社長の時代が終わり、理系社長に移る。開発部門出身の佐藤廣士氏(19代)を経て、製造部門出身の川崎氏(20代)が社長に就いた。

 13年に川崎氏が社長となってからも、16年にグループの神鋼鋼線ステンレスで、ばね用ステンレス鋼材の試験データを改ざん、日本工業規格(JIS)を満たしているかのように偽装していたことが明るみに出た。

 そして今回の検査データの改ざんである。

 今年5月、川崎氏は行動規範「KOBELCOの6つの誓い」を公表。「法令、社内ルール、社会規範を遵守することはもちろん、高い倫理観とプロとしての誇りを持って、公正で健全な企業活動を行う」と宣言していたのだからあきれるほかない。

BusinessJournal編集部

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