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監査で東芝の不正は摘発できない…公認会計士が暴露、知られざる監査の実態

構成=深笛義也/ライター
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B それでも、世間から見れば、金額の大きな不正は見つけることを監査に期待するのは当然だと思います。金額が大きければ大きいほど、意図的であれば兆候はあるので見つけやすいところです。東芝とオリンパスは意図的でしたが、会計士は気づいているはずです。まったく気がつかなければ、それは無能ですよね。

 カネボウの場合は、結託していた監査法人から逮捕者が出て、会社は経営破綻しました。これは特異な例と思いたいですが、会計士が不正に加担してしまう場合さえあるということです。カネボウにしても、オリンパス、東芝にしても、会計士が監査先企業からキックバックをもらっているということは一切ありません。にもかかわらず、なぜ不正に加担するというリスクを冒すのかといえば、会計士がサラリーマン化しちゃっているんですね。そうすると、監査法人内での評価をものすごく気にするようになる。

 監査を厳しくすると、「もう交代するぞ」などと言われ、監査先企業との関係がギスギスしてしまう。すると、監査法人内で「東芝という優良なお客さんをグリップできないのか」という評価になる。そういう内部の評価を気にするあまりに、直接的な経済的利益がないにもかかわらず、不正の兆候を認識しながらも何もなかったかのように見逃すという現実が根本にあると思います。

A 監査法人は、監査先企業から報酬をもらう関係です。「そんなこと言うんだったら監査契約切りますよ」という殺し文句もあり得るんです。そこまで言われなくても、ビッグクライアントを失いたくないという思いで、なかなか厳しいことは言えないというのは、構造的な問題として昔から指摘されています。

企業監査の限界

D ただ監査法人も今はネットワーク・ファームになっています。16年まで東芝の監査を担当していた新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤングのネットワークに入っている。今、東芝を監査しているPwCあらた有限責任監査法人は、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)のネットワークに入っています。アーンスト・アンド・ヤングもPWCも、世界の“ビッグ4(4大会計事務所)”です。東芝の有価証券報告書に「限定付き適正」の意見を出すのにこんなに時間がかかったのは、PwCからいろいろ言われたからでしょう。

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