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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

債務残高対GDP、25年後に350%超となる確率は約43%

文=小黒一正/法政大学経済学部教授
債務残高対GDP、25年後に350%超となる確率は約43%の画像1「Thinkstock」より

 2018年は明治維新から150年目の節目で、かつ、新元号の決定を行う年でもあるが、財政においても大きなイベントが2つある。ひとつは、19年10月に予定する消費税率10%への引き上げに関する政治判断であり、もうひとつは財政健全化フレームの見直しである。

 20年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標は断念したものの、後者の財政健全化フレームの見直しについては、先般(17年12月8日)、政府は、人づくり革命と生産性革命を柱とする「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定し、以下の文書を盛り込んでいる(太字は筆者)。

<消費税率引上げ分の使い道の見直しにより、国・地方のプライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となる。ただし、財政健全化の旗は決して降ろさず、不断の歳入・歳出改革努力を徹底し、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持する。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、来年の「経済財政運営と改革の基本方針」において、プライマリーバランス黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を示すこととする>
 
 また、17年12月19日に閣議了解した「平成 30 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」でも、以下の文書を盛り込んでいる(太字は筆者)。

<財政健全化については、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すという目標を堅持し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、来年の「経済財政運営と改革の基本方針」において、プライマリーバランスの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を示す。平成 30 年度予算は、「経済・財政再生計画」における集中改革期間の最終年度であり、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行する>
 
 なぜ、財政健全化の「旗」を降ろしてはいけないのか。理由は単純で、今後も高齢化が進み、医療費・介護費が急増していくためである。18年度予算では、社会保障関係費が過去最大の33兆円に達したことがひとつの話題となったが、国と地方の公費や保険料で賄う社会保障給付費は約120兆円に達する勢いである。

小黒一正/法政大学教授

小黒一正/法政大学教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。


京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。


1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。


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Twitter:@DeficitGamble

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